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青井サイベル
青井サイベル
novelistID. 59033
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不夜城のかざりつけ 第五夜

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喧嘩上等。売られれば買う。その点はもう昔の「溜め込む」自分とは違う。
昔は無言で「負けたフリ」をしてそれを重ねて、あとで大爆発。
くだらない。相手もびっくりするし、自分への負担が大きすぎるし、そのたびに人間関係が激しく壊れた。
だからわたしの電話帳には「役所」だの「電話会社」だの「病院」だのが並ぶばかりで、友達はほとんどいない。



かまわない気がする。
友達百人、なんてとんでもない。もともとが引きこもり気味。
一人の人間と付き合い、向き合うのにもひどくエネルギーを消費する。
百人いたらと思うとぞっとする。



ぞっとする、つながりで今宵はぞっとする話を。
付き合いの根本の、お話です。



★ 最悪の恋

最悪の恋をしたことがあるだろうか?
豊富にその経験がある。
最強のだめんずだ。
そういう男ばっかり。
もしくは将来のある男をだめにする「さげまん」の可能性も高い。
どっちもありがたくないが、ここまで重なるともうそうとしか考えられない。


で、テンパってる時は「最悪男」の「なんともいえなく、臭い」貌を絶世の色男だと見、「最悪の性格」を「個性」「頼もしい」「優しい」「理知的」「素直」だのと、脳は書き換える。

あー!バカバカバカバカバカ!

いや、これはきちんと書いておかねばならない。
これから恋する人の為に、そして二度と失敗の許されない自分の為に。



「臭い」にむっとし、?となる瞬間はいくつかある。
「彼」がメニューを決められず、わたしが選ぶことになった時。
どこへ行くのか決められず、わたしが引っ張りまわしていらいらしながら帰った時。
振っておきながら復縁を望む手紙を受け取った時。
わたしをお人形として連れまわしていると感じた時。
理知的な会話をして、わたしが馬鹿だとそれとなく知らしめようとしている時。
自分が絶対的に正しいと信じて疑わず、それと反対意見を持つわたしを弾き飛ばす時。



そんな時、気づく。
「笑うとガバッと出る、歯茎」
「醜い目元」
「地顔が虚ろ」
「短小」「包茎」「早漏」「バランスの悪い身体」
「信用できない表情」
「頬の邪悪な影」



どんなすごい学歴・地位・金だろうと、借金まみれだろうと(この辺でわたしの遍歴のバカみたいな幅広さがおわかりいただけるかと)、こういう「覚せい剤」みたいな男に出会ったら速攻で逃げること。
吸い取られ、クスリのように使われるだけ。
妄信的になっていたわたしにも大いに問題はあったとは思う。
でも、何もかも投げ出してナイアガラにでも行きたいと思ったら、潮時。
ナイアガラへそいつを連れてって、滝壺に向かって投げっぱなしジャーマンかましたれ。


貴女がその中へ堕ちるのじゃない。そう。
貴女がそいつを、堕とすのだ。永劫に。
貴女が美しくあるために。