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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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解けるまで時間停止です!!

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「ここで問題です!
 この後、いったいどうなるでしょう!?」

どこからか声が急に声が聞こえた。
体は動かなくなり、世界は時間が止まったように停止している。

どうなるって……どういうことだ。

あたりを見回してみても、
クイズの答えになり得そうなものはない。

「え、あ……雨が降る、とか?」

「ドルルルルルル……ジャン!
 正解は"車にひかれる"でした!!」

時間停止が解除されると、
後ろに迫ってきていた自動車にはね飛ばされた。

すぐにやってきた救急車に担ぎ込まれる。

「バイタル正常! 出血も問題ありません!」
「聞こえますか――!? 聞こえますか!?」

バタバタとせわしなく動く救急隊員の動きがぴたりと止まる。

「ここで問題です!
 この後、いったいどうなるでしょう!?」

また天からの声が聞こえた。
周りは時間が止まり、必死な顔のまま救急隊員は止まってる。

どうなるって……どうなるんだ?

「救急車が揺れるとか? 救急車が事故るとか?
 まさか……俺が死ぬとか!?」

「ブブーーっ。回答は1つに絞ってください」

「きゅ、救急車が事故る!!」


「ドルルルルルルルルル……じゃん!
 正解は、救急隊員がキスするです!」

「えっ」

回答が出た瞬間、救急車がぐらりと横にゆれる。
時間停止が解除されたとたんに揺れて、
バランスを崩した救急隊員がストレッチャーに寝かされた俺にかぶさる。

そして、そのまま熱いキスをした。

おっさんの無精ひげがあたって気持ち悪かった。



トラウマが1つできたころ、病院に到着し処置が完了。
麻酔であまり覚えてないけれど、目が覚めたら病室だった。

医者がやってくると、また時間が停止した。

「来たか」

「ここで問題です!
 この後、いったいどうなるでしょう!?」

必死にあたりを観察して答えになりそうなものを探す。
医者の手にはカルテがあり、その名前は俺。

つまり、あの医者は間違いなく俺に現状説明に来たのだろう。

「わかった! "医者が俺に説明する"だ!」

「ドルルルルルルルルル……じゃん!
 正解は、床が抜けて先生が落ちる、です!」

「わかるかぁ!!」

時間が動き出すと、古びた床が抜けて1階下の病室に先生が落下。
病院で医者が手術を受けるという大惨事になった。

その後も、時間停止クイズは何度も行われた。


「ここで問題です!
 この後、いったいどうなるでしょう!?」

「ここで問題です!
 この後、いったいどうなるでしょう!?」

「ここで問題です!
 この後、いったいどうなるでしょう!?」

「ここで問題です!
 この後、いったいどうなるでしょう!?」
   ・
   ・
   ・

でも、その中で1問も正しかったことはない。
その不自然さから俺は気付いてしまった。

「まさか、俺が答えていない未来にしているんじゃないか?」

俺の答えを聞いたうえで、
それが間違いになるような未来にしているに違いない。

床が抜けるなんてそもそも不自然すぎる。

「だったら、逆のことを言えば俺の望む未来にできるはず!」

あえて、自分の望んでいない未来を俺が答える。
そうすると、それが答えにならないように未来が変わるから
結果的に俺が求めている未来になるはずだ。

不正解を出すことで、未来を俺の好きなように調整する。
完璧だ。完璧すぎる。

すると、病室にかねてから片思いしている女の子がやってきた。


「ここで問題です!
 この後、いったいどうなるでしょう!?」


ナイスタイミングでクイズが入った。
周りの時間は止まり、俺に回答権がゆだねられる。

あとは、あの子が俺に告白してくれるように仕向けるだけだ。

俺は深呼吸すると、残された答えが「告白される」だけになるように
時間停止クイズの答えを出した。


「病院の建物が壊れて、あの子は俺のことが好きじゃなくて、
 自分の思いを俺に伝えようとしたわけじゃなくて、
 突発的な事故が起きたりして、この後すぐに俺に彼女ができなかった!!」


答えとしては支離滅裂だが、ある意味ひとつの答えにはなってる。
床が抜けるとかずるい未来になることを防ぎつつ、
彼女が俺に告白してくれるように仕向ける。

さあ、答えの発表だ。

「正解は~~~~……ドルルルルルルルルル……」

俺は息をのんだ。

「ドルルルルルルルルル……」



「ルルルルルルルル……」



「ルルルルル……」



「ルルル……」



終らないドラムロールが答えになっていた。

「ま、まさか……俺が告白する未来って、
 どう頑張ってもあり得ないの……!?」


「ドルルルルルルルルル……」


正解に詰まった未来は延々とドラムロールを続けていた……。