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ねとげ~たいむ外伝 ~in,lunry,story~

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 私達は新しいクエストを受けた。
 今回受けたのは討伐『水晶の洞窟』だった。
 今度の依頼主は魔法ギルドからで、占いに使っている水晶玉の魔力が無くなってしまったので、新しい水晶玉製造の為に原材料を採って来て欲しいとの事だった。
 原材料は大地の魔力を組み上げて蓄える性質を持つ『魔水晶』でなきゃいけないのだけど、その魔水晶は街から南東に行った所にある滝の裏の洞窟でしか採掘されなかった。
 でもそこには必ず全身から魔水晶を生やした『クリスタル・ドラゴン』が生息しているのだけど、クリスタル・ドラゴンの体の魔水晶の方が上質なので、できればそっちを持って来て欲しいとの事だった。
 白々しい…… 明らかに遠まわしに『クリスタル・ドラゴンを倒せ』って言ってるようなモンだった。
 地面や天井、岩壁などから突き出た巨大な水晶が青白くほのかに輝いて真っ暗な洞窟を照らし、私達はモンスターを倒しながら最深部へやって来た。
『グオオオオっ!』
 緑色にギラつく爬虫類の様な目、大きく裂けた口、全身青い鱗に覆われた体、4本指の腕と3本指の逆関節の足、頭部から尻尾の先まで無数の小さな白い水晶が生え、特に額からは細くて長いのが3本、両肩から特別巨大な水晶が生えたドラゴンが大地を踏みしめて大きく咆えた。
「はああっ!」
 私とルキノとテリオはクリスタル・ドラゴンに攻撃した。
『ギャアアアッ!』
 私達の攻撃がクリスタル・ドラゴンに通った。
 次に後方支援のアルネとローネが呪文を唱えると足元に魔法陣が現れた。
「ライザーッ!」
「シェイクッ!」
 雷撃と衝撃波が放たれてクリスタル・ドラゴンを襲い爆発する。
『ギャアアアッ!』
 魔法攻撃も有効だ。
 今回は特別な事は無い、地中にも潜らないし、仲間も呼ばない普通のモンスターだ。
 こちらも私とルキノには攻撃力増加の『渾身』と『チャージ』が存在し、テリオにも技の中に攻撃力を増加させる『腕力丸』と言うのがある、さらに防御もローネが魔法をかけたおかげで抜かりは無かった。
 今回は楽勝で片付く…… と、誰しもが思った。
『グルルルゥゥ――ッ!』
 クリスタル・ドラゴンは前かがみに生ると低く唸った。
 すると周囲のクリスタルがほのかに輝いて青白い粒子を放った。
 その粒子はクリスタル・ドラゴンの両肩に吸い込まれて行くと背中の水晶が強い光を放った。
 しかもそれだけじゃ無い、私達の全身からも青白い粒子が飛び出すとクリスタル・ドラゴンに吸収されてしまった。
「何っ?」
 私は体を見まわした。
 何と私達にかかっていた魔法が消えて無くなってしまい、元のステータスに戻ってしまった。
 クリスタル・ドラゴンは大きく目を見開くと大きく叫んだ。
『グオオオオォォオオオ―――ーっ!』
 洞窟内がビリビリ振動すると天井がパラパラと細かい石となって崩れ出した。
 クリスタル・ドラゴンは大きく口を開くと青白い光が集まって強力なレーザーを吐き出した。
「くっ!」
 私達のいた場所は轟音を立てて爆発し、私達は吹き飛ばされて地面に転がった。
 とっさに回避した為にダメージは無い、だけど直撃したら私はともかくアルネやテリオはヤバかった。
『ガアアアアッ!』
 さらにクリスタル・ドラゴンの額の角が輝くと3つの光弾が放たれた。
「フル・ディフェンズッ!」
 ローネは両手をかざして防御魔法を唱えた。
 目の前にバリアが張られて敵の攻撃を防いだけど、結構ダメージが大きくて完全に抑える事は出来なかった。
 この僅かなターンで私達のHPは結構減らされた。
 ローネはターンを使ってしまったので、慌てて皆でアイテムを持ちより体力を回復した。
「回復が精一杯だわ」
「って、これドーピングじゃねぇか!」
「卑怯っス! 反則っス! 即座に退場〜っス!」
「ドーピングなら私達もしてるでしょ」
 私は言う。
 理由はどうあれ私達のやってる事だって立派なドーピングだ。
 現実の試合なら即座に退場だろうけど、生憎これはネット・ゲーム、しかも相手はモンスターだ。
 私達のドーピングはした所で意味は無い…… クリスタル・ドラゴンは私達の補助効果を解除する能力を持ち、さらに自分は受けたダメージを回復してパワーアップする事ができる。
「奴の攻撃を何とかしないと不味いな」
「生意気ッス! 丸焼きにしてやるっス!」
「随分シンプルになったね」
「それが出来れば苦労は無いよ」
 テリオは言った。
 こう言った敵はエネルギー源を潰すが正攻法だ。
 でもエネルギー源はあちこちに生えている魔水晶だけど、それを全て破壊する事は不可能だ。
 となると残るはモンスターの部位破壊、クリスタル・ドラゴンの両肩の水晶の破壊のみだ。
 だけど今のクリスタル・ドラゴンの攻撃を掻い潜りながら近づくのは至難の業だった。
 いくら私でもまともに攻撃を受ければただじゃすまない…… そんな事を考えているとクリスタル・ドラゴンの背中の水晶から光が無くなった。
 するとモンスターは再び蹲ると周囲のクリスタルからエネルギーを吸収し始めた。
「次あれ食らったらヤバいぜ」
「早く回復っス〜」
「ん、ちょっと待って」
 私は思った。
 見るとあいつは何もして来ない。
 どうやら吸収したエネルギーは長く続かないらしい、しかもエネルギー充填時は身動きがとれないらしい。
「何よ、隙だらけじゃない」
 私は新調した両刃の大剣バスター・ソードを構えて飛び出した。
 そして間合いを詰めると技コマンドを選択した。
「気合い斬りっ!」
 私の技が右肩のクリスタルを砕いた。
 思った通り、こいつはエネルギーを吸収している間は無防備で、しかも体の水晶は恐ろしいほど脆い、まるでダンボール・レベルだ。
『ギャアアアッ!』
 エネルギー吸収を邪魔されてクリスタル・ドラゴンがよろけて倒れた。
 しかし奴はもう片方の水晶がエネルギーを吸収してる為に反撃は出来ない。
「もう一丁っ!」
 皆が回復しているので私しか動けない。
 私はもう一度気合い斬りを使った。
 今度は左肩のクリスタルを破壊した。
 これで奴はエネルギーの吸収が出来なくなった。
 しかし再び奴は動けるようになった。
 だけど吸収した分のエネルギーは消す事が出来ない。
 クリスタル・ドラゴンは額の角が輝いた。
『ガアアアアッ!』
 クリスタル・ドラゴンは私に向かって光弾を放った。
 私の攻撃ターンは終わってる、つまり攻撃する事は出来ない…… だけどまだ手はある。
「スキル発動!」
 私のバスター・ソードが青く輝いた。
 そして渾身の力を込めて振るうと刀身に光弾がぶつかった。
「はあああああっ!」
 光弾は跳ね返ってクリスタル・ドラゴンの顔面に命中して爆発した。
『ギャアアアッ!』
 クリスタル・ドラゴンの額の水晶が砕けた。
 モンスターのターンが終わると今度は私のターンだった。
 技コマンドを選択、新しく覚えた技を使った。
「唐竹割りぃ―――っ!」
 一気に天井すれすれまで飛びあがると一気にバスター・ソードを振り下ろした。
 輝く白刃がクリスタル・ドラゴンの頭上から真下へ一気に切り裂いた。
『ギャアアァァアア―――――ッ!』