あなたはどの数字と結婚したい?
液晶パネルをタッチしてください。
すると、部屋にその人が通されます」
「最近の結婚相談所ってハイテクなんですねぇ」
すっかり感心してしまった。
家族から「いつ結婚するんだ」という圧力に負けて
なんとか早く結婚相手を見つけなくちゃならない。
数あるプロフィールから、特に優秀な子を選んだ。
部屋の仕切りがはずれて本人が登場。
「はじめまして、私は1。
あなたが私を1番に選んだのね」
やってきたのは数字の「1」。
「まあいいわ。とりあえず彼女になってあげる。
そういうルールだしね。この相談所」
「あ、はい……」
1との交際が始まった。
1は頭脳明晰スポーツ万能で非の打ち所がない。
しいてあげれば、何にでも1位を目指すために
周りとの衝突が絶えず常に孤立していた。
「1番は常に孤独なのよ」
と、1は気にするでもなく答えた。
ああ、こいつとは無理だなと最初の1日で確信した。
次に、別のプロフィールを押してみる。
今度は完全にスリーサイズだけで判断した。
仕切りが外れると8がやってきた。
「はぁ~~い♪ お呼びか・し・ら?」
8の上の○がぼいんぼいんと揺れ、
ウエストはしまり、ヒップはセクシー。
「うふふっ、それじゃあ行きましょうか」
とりあえず付き合ってお互いの相性を確かめる。
この相談所のルールがこんなに嬉しく思ったことはない。
セクシーな8に腕を絡ませられ悪い気はしなかった。
その後も、別の数字と交際をしてみた。
1を除いて誰もが魅力的だった。
特に気に入ったのは、いつも元気でお調子者の7。
マイペースで一緒にいて楽な0が印象的だった。
「それで、結婚相手は決まりましたか?」
期間内に相手を決めるのがこの相談所のルール。
誰と結婚するか悩んだが候補は3つに絞られた。
(1)セクシーでグラマラスな8と結婚
(2)お調子者で元気な7と結婚
(3)自由気ままでまったりな0と結婚
悩んだ末に出した結論は……
「1でいきます」
「わかりました、1さんですね」
相談所は笑顔で1を通した。
作品名:あなたはどの数字と結婚したい? 作家名:かなりえずき