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青井サイベル
青井サイベル
novelistID. 59033
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不夜城のかざりつけ 第三夜

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キリキリする音楽が弾け、合図が弾け、では今夜も。



★ ロング・ヘア、グッド・ルッキン

髪の長い男が好き。ハンパな長さじゃダメ。
髪は肩甲骨から背中のまんなかぐらいまでは最低限、届くぐらい。
バンドマンがいい。痩せ型。一重まぶた、厚めのくちびる。
声は低くヘビースモーカー、酒が強くて腕っぷしも強い。
性格は温厚。楽器はテクニシャン。
ローティーンの時は2次元に逃げてた。そんな、絵姿を思い描いて。
やがて真正面からぶつかっていった。この世界に生きられるのは生きてる人間だけ。



そういう男は本当にいた、ただ欠点も普通にあって、髪が長かろうが好みのルックスだろうが最終的には人間性で付き合うことになった。当たり前だけど。
だから今は見るだけでいい。あんま見かけないけど。
化粧はいやだなあ。シーラ・Eの曲にあったじゃない、
「次に会う時には口紅を塗らないで来てね」って。
ブルーズ(ス、じゃなくて)が沁み込んでる太くて長いゆび。
微笑みの深さ、そして手が届きそうで届かない華やかな馨(かお)り。
ああ、どれもがわたしにはないのだ。
だからなのだ。「彼」が好きなのは。
そして「彼」は、存在しない。
ほんとの所、わたしが今や欲しないから。



★ 急ぐ恋

あ。
と思ったら、すぐに声をかける。だめでも全然かまわない。
あるいはかけられるように粉をかける。
まだるっこしい恋はきらい。瞬間で斬り合う。
お互いに深い痛手を負ったら、そこで始まり。
血をだらだら流しながら歩み寄り合い、そこで、笑い合う。
ふふ、やっぱり、見てたの?
おれも見てた。すぐわかった。
その初めての親密さは、同胞への情に似ている。
いや、そっくりだ。
出雲の縁結びの神々さまたちも、呆れているにちがいない。
なんてせっかちなんだろうね、と。
でも、時間がなかった。
自分が花でいられる時間はあまりに少ないと本能的に知っていた。
それだけが誰もが必要とする資質だと思い込んで疑わなかった。
とりえなんかない。売りまくる以外なかった。くだらぬ嘘も使った。
急いだ。
でも、よかったと思う。やっぱり、花は早く終わったから。
実を結ばない体ではあるけれど、沢山の開花を味わった。
恋をしないで人生を終わるなんて、食卓について食事を摂らないも同然。
自分には嘘をつきたくなかった。
よかったと思う。



★ 「サム☆サフィ」

という映画がある。日仏合作映画でけっこう前のもの。
とにかく主演の女の子が可愛くて、顔もコケティッシュで体は「今すぐ抱きたい!」と思わせるくらい魅惑的。
棒切れみたいに細いんじゃなくて、プリッと出るとこ出てて白くふわっとマットな肌、「柔らかそうううう」、「うまそうううう」、なのだ。
ストリッパーの女の子が刺激的な毎日に嫌気がさして、公務員になって、でも?
って話。
衣装も小物もすてきで、他の出演者も味がある。
今日はセックスの話が多いが、この映画もセックスが重要なファクターになっている。
とどのつまり、愛と性は生きる限り多かれ少なかれ人に影響を与えるということだ。
そんなの自分とは関係ないと思っている「人」だって、
「両親」の「性愛」の結果生じている。
自分の両親の性愛のことなんて想像したくないが、娘の自分はしっかりやることやってる。
もし自分に子供がいたらなんて考えてしまう。どうなんだろう。やっぱり我が子がセックスすることは考えたくないんだろうか。


昔の両親の写真を見せてもらった。
父はいたずらっぽい顔。そして母とわたしはほぼ同じ顔。
遺伝子は旅をし、わたしに辿り着いた。そしてわたしはこの旅をここで終わらせる。
わたしは諸事情から子供を持つなんてまっぴらごめんだと思っているから。
その他色々なしんどい選択をした結果。
でも。本当だろうか。
魂の旅の方は、どうなのだろうか。
どうも、終わることはないような気がする。どうもそんな気がする。
今ベッドにいる男女は、いない男女は、旅のどこにいるのだろうか。




★  魅惑のしらべ

現在スピーカーはSLAUTHTERを奏でている。ああ!きもちいいい!
ガラガラに空いた134号を流せたらいいのに。アルファロメオのコンバーチブルで、幌を下ろして。アクセルを踏む足はもちろんサンダルで。


音楽ってまったく食事。
美味しくないのもある。
同じ作曲家で「これいい!」と「退屈」なのがあったり、
「これはおやつ」「豪華ディナー!」ってことも。
脳はいったいどういう判断基準でそう感じさせるのだろう。
わからないけど、おもしろい。


脳の求めるままに、不思議なこの箱は夜を進む。
まだ、遊んでいたいと言ってくれる。
わたしと一緒に。



では、続きます。
ちょっと一杯、お酒を入れてきますから。