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青井サイベル
青井サイベル
novelistID. 59033
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不夜城のかざりつけ

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だんなさんは良く眠る。わたしはあまり睡眠を必要としない。
一緒にお喋りをして楽しい時間を過ごしたいとごねても、国連が出てきてもおかまいなく彼はねむりの国へ逃走してしまう。


だから。


さあ、ここから深夜の時間は、わたしのお城でパーティをします。
滅茶苦茶なパーティを。
開けたら読み流して。意味なんかないんだし、会場にはゴミ箱もありますから。



★デュラン・デュランをかけましょう。
八重に咲き渡る花園の迷宮を走り抜ける、ビート。匂やかな英国の姿。



★一人の時間にやっちゃいけないことなんかない。
エンターキーを強く叩くクセもOK。
ドアを多少乱暴に開け閉めしちゃっても怒られない。
あなたは馬鹿、と責め立てる声も今夜は聞こえない。
あるのはひたすらにごきげんな音楽と境のない夜空へ翔け上がってく感覚。



★香水もつけちゃえ。
ロクシタンのジャスミンはもう飽きたから、ピュア・ラ・バリのチュンパカを買っちゃおう。
香水ってすごくて、つけると本当に気分が変わってしまう。
目に盛り化粧をするより劇的に変わる。一吹きで人格が。



★夜の城ではでも、気をつけなきゃいけない。
レースの扇子の向うに見えた顔が魅力的でも、その実最低な男もいたし。
時々、ほんとに時々、よくも悪くも関わった男の名前を思い出していこうとするが、たいがい失敗する。向うでも同じだろう。



★刺青だらけの身体に蛇を這わせた女友達が、遠くから電話してくる。
彼女は二人目の娘を授かったばかり。



★綺麗になりたい欲望がなんなのか、たった今わかった。
これは女の本能なのだ。動物の生態に色々あるあれだ。強い雄にアピールするため。
でも、人間の「いいオス」?
それはむちゃくちゃライン引きが難しい。明日考えよう。



★香水、綺麗ときて、アクセサリーのことを考えた。本物がゼロじゃないけど9割以上がジャンクジュエリー。ガラスが好きだから、これでいい。時々負け惜しみなんだか本気なんだかわからなくなるけど、たぶん両方。色はクールめ。
今はガムランボールをシルバーチェーンに通したのと、シルバーのイーグルのチョーカーを着けてる。耳は日替わり。手首はなにもなし。
こういうの、引き算した方がいいときく。つまり、三か所全部つけるとくどくなると。
色もそうだって。合わせる色は基本3色まで。それより多色使いにするとピエロになるからって。



★マルボロの赤をこのんで呑む。舌と喉と肺と血にしっくりくるから。
今度、誕生日を祝ってもらう。ワインも買ったし、葉巻を買ってもらおうかな?
家計を無視してパーティ思考を飛ばせてみる。



★欲しいもの。骨数の多い赤い傘。スワロフスキーの林檎のペンダント。最近一番心をしめつけられた本、中古でいいから。AC/DCが来たらそのチケット。
街じゅうの猫と話せる耳と口。ラナンキュラスの花。今夜、自分が欲深なことがどんどん浮き彫りにされてきて、思わず口元がにんまり上がってしまう。



★欲しかったものは一つ、手に入れた。クロコダイルに見た目は似てる。でもそのランダムな四角模様の一つ一つがなめした牛革で、その一つ一つに色を垂らしてエナメルで仕上げてある長財布。エーゲ海の島の朝焼けをイメージしたという、すべてが淡い薄紅と水色と黄、むらさきと真珠色。
柔らかくなめらかな手触り。素直に下りるジッパーの先端に、可愛いフリンジ。
だから家計は火の車。しかし人はパンのみにて生きるにあらず。美をむしゃむしゃ食べなければいけない時もあるのだ。



まだ、眠りたくないからまた書きます。
では、続きは次のパーティで。