夢
悲しい夢
そのせいで目覚め
それは空中に
水彩絵の具の虹のように跡をひいていた
これから始まる一日の
熱をすべて奪うような夢だった
よく憶えてはいないのに
水をすこしで薬を飲み
着こんでマフラーを巻いてから
虹を分解するために指を動かしていながらも
虹蛇に腹まで飲まれているのがわかる
ほら抜け出そう
息を吸い
息を吐く
火の灯る魂
空気を循環させ
健やかな炎を燃やそう
この火は何かの役に立とう
そう信じておれるならば
不吉なニュースを消し
音楽に耳を傾ける
脳内のレセプターがいっせいに花咲く
なおも空に残る虹はすこしずつ笑んでゆく
ただいま
おかえり
わたしの日常