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シスターと物乞い 後編

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ノリータ :できる様な額じゃないのよ!

ノリータは大声を張り上げた。

ノリータ :ごめん。カッとして。

その数日後、ノリータは弟の屋敷に行った。しかしそこには弟フィーリップの姿はいなかった。彼女はオフィスワードを訪れた。オフィスワードの職員は言った。

職員   :弟さんですね。彼の居場所は私にもわかりませんし、弟さんは施設の申請もしていません。彼には借金の話を20年以上前からしていましたが…弟さまはずっと前から知っている筈ですよ。ようやくハンコを作り、借金を承諾しました。すべてのエリントン家の借金を彼のものにする。他の兄弟、親族には一切請求しないとの約束で。私は姉がシスターの資格をなくさなければいけませんが、二人で借金を分担するように提案したのですが…弟さんは姉さんがシスターの資格をなくすようなことはないようにと必死に頼んでいました。あなたは一切の借金はありません。借金はすべて弟さんのものになりました。

ノリータは教会に戻って皆にその事を告げた。

シスター達:よかったシスター。

皆はそう言ったが、ノリータは少しも喜ばなかった。その時、花瓶が落っこちてわれた。

ノリータ :何だろう。変な胸騒ぎがする…なにかとても嫌な予感。

ノリータはじっとしておれず街中を走った。レキシントン・アベニューを走り、68ストリートをイーストリバー方面へ向かって走った。
イーストリバーに着くと誰かが叫んでいる。

川辺の人 :人だ。人が流れているぞ。水死体だ。

ノリータは走ってかけつけた。その水死体はまぎれもなく弟フィーリップのものだった。

川辺の人 :この男の身元の確認できるものはないか?ポケットに紙があるぞ。

弟を抱えている男はそう叫んだ。

ノリータ :彼は私の弟です。紙を…ポケットの紙を渡してくれませんか?
川辺の人 :おお、あなたがこの男の姉さんか

ノリータはポケットの紙を受け取り開いた。何か書かれている。そこには読み書きを習っていないものによる、拙い文章が書かれていた。

姉さん、逢えてうれしいよ。大事な仕事の力,シスターなくさないで。僕の生きる、それを姉さんの分も生きて。さよなら姉さん。
ノリータはイーストリバーの前でひざまずきそれを見て嗚咽した。

ノリータ :ああ、若き弟がなくなり、いやしくも姉の私が生き残るなんて…

行き違いが悲劇を生んだ悲しい、とても悲しい鳴き声が街中を響き渡らせた。
                                 (fin)