UZEEEEEE!! かるた
「ふっふっふ、お前本気かぁ?
競技かるた歴10年の俺とかるたで勝負したいと?」
「はい」
「いいだろう、完勝してやる」
男はふふんと自信たっぷりに鼻を鳴らした。
床にはかるたが広げられる。
その絵柄は百人一首でもなければ、
ましてお正月にやる普通のかるたでもない。
「変わった絵柄だな」
「うざうざカルタなので」
「うざうざ……?」
なんだそれ、と聞く男の口を
自動再生される読み手の声がさえぎった。
『SNSでやたら更新するぅかまってちゃん~~』
「はいっ!!」
男の弾丸のような手が札をつらぬいた。
「ははは、どうしたどうした?
全然動けなかったじゃないか」
「さすが先輩ですね」
「トーゼン。凡人とは違うからな」
「まだ負けませんよ」
読み手がどんどん札を読み上げていく。
『使い慣れていないカタカナ用語を使いまくる~~』
「はい!」
『どんなときも人の悪口ばかり話したがる~~』
「はいっ!」
『人の話を聞いて"だから?"と聞き返す~~』
「はいぃっ!!」
『"なんでもいい"と言いつつも、決めると文句を言う~~』
「はいよぉっ!!」
男の独壇場だった。
言い出しっぺの人はぴくりとも反応していない。
気が付けば、男はすべてのカルタを一人で取りつくしていた。
「はははは! 少し大人げなかったな!
ま、勝負ってのは非情なものだからな。
これもお前の成長を思っての全力だったんだよ」
「……そうですか」
「ところで、このうざうざかるたってのはあれか。
うざいと思われる行為をかるたにしているんだな」
「ええ、そうです。
でも、もうひとつだけ変わっていることがあるんです」
「まぁ、どんなかるたでも
俺に勝負を挑んだ時点で敗北は決まりだな。わっはっは。
……で、もうひとつの変わってる部分ってのは?」
言い出しっぺは、読み手の音声を再生した。
「この読み手の音声、
かるたの読まれた内容に心当たりがある人しか
音が聞こえないようになっているんです」
作品名:UZEEEEEE!! かるた 作家名:かなりえずき