おそろしい花
わたしはひとつの器官に過ぎず
ただいっときの色に過ぎないのです
花はそう言って顔をそむける
わたしは本当はおそろしいのですよ
どうかお離れになってください
さもなくば毒をもってあなたに触れればなりません
花はそう言ってふるえる
わたしの顔がどんなか わたしは知りません
ただひとつ言えるのは
わたしが人々を狂わせるということです
花はそう言ってすこし笑う
花ではないのです
わたしの花弁はわたしの剣
わたしの顔を見てはいけない
そう
見てはだめです
花はおそろしいその顔を
ゆっくりとこちらに向ける