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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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そんな目で見ないでっ!

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はっくしょん!
はっくしょん!!

ふぇっ……ふぁっくしょん!!

「うう……くしゃみが止まりません……。
 私、花粉症の薬をたくさん飲んでいるのに
 まるで効き目がないんです……」

「ええ、だってそれ、視線花粉症なんですから」

「視線花粉症!?」

ドクターが振り返ると、思い切り目が合った。
その瞬間、あらがえないくしゃみが出てくる。

「はっくしょん! こ、これは……っくしょん!」

「人の視線に敏感になってアレルギーが出るんです」

「こ、困ります!
 私、明日に大事な就職面接があるのに!
 目をそらすわけにいかないんですよ!」

かといって、くしゃみばっかりしていたら
これ以上失敗な面接はないだろう。

「薬はないんですか?」

「残念ながら……」

「そんなぁ……!」

面接受ける前から、落選宣告されたような
絶望的な気持ちになるしかなかった。

でもそこにドヤ顔の看護師がやってきた。

「ふふふ、私ならくしゃみを止める方法を知っているわ」

「本当ですか!!」

看護師に連れられて病院を出る。
道中も人と目を合わせないようにずっとうつむいていた。

「あの、本当にくしゃみが止まるんですか?
 鼻の神経を斬るとかじゃないですよね?」

「そんな物騒なことしないわよ。
 くしゃみを止めるのはとっても簡単なのよ、はい」

「これは……」

看護師が渡したのは……。



「サングラス?」


「そう! 視線花粉症は視線のアレルギー!
 だからサングラスをすればくしゃみでないのよ!」

試しにサングラスをつけてみる。
デザインもあってか道行く人の視線が一気に集まる。

けれど、看護師の言う通りくしゃみは出なかった。

「これで完璧ね! もう視線花粉症は怖くないでしょ!?」
「ええ、そうですね!」

「それじゃ明日の面接もがんばって!」
「はい! わかりました!!」




「ってちがーーう!!」

慌ててサングラスを取って猛抗議。
看護師は目を丸くしてきょとんとしている。

「え? なんで? サングラスでくしゃみ止んだじゃない」

「面接会場でサングラスするわけにいかないでしょ!!
 入り口の段階で追い返されますよ! 持ち込み厳禁!」

「でも、私、あの病院にはサングラスで面接受けたわよ?
 それで採用されたわよ?」

「とんでもない病院だったんですね!?」

さっきまで真剣に相談していた病院が
サングラス面接の危険な女を雇っていたとは……。

「……しょうがないわね。
 これを教えるしかないわ」

「まだ何かあるんですか?」

「ええ、とっておきの方法よ。
 どれくらいかっていうと、女の人生捨てるくらいよ」

「そのたとえはよくわかりませんけど……。
 とにかく、サングラス以外でくしゃみ出さずに済むんですね?」

「ええ、特別に教えてあげるは。ごにょごにょ……」





翌日の就職面接当日。

完璧な受け答えができるようにしっかり準備してきた。
私は面接会場の前にくると深呼吸。

「大丈夫。あれだけ練習したんだもん。
 きっと大丈夫……くしゃみさえ出なければ」

面接会場のドアが開くと、重苦しい空気の面接官が待っていた。
さっそく私は「秘密兵器」をはじめた。

面接スタート。


「はい、御社の商品をよく利用していて興味がありました。
 できればこの会社に勤めて
 私のような人を1人でも増やすことができればと思いました!」

「そうです。私の夢はこれらすべてをまとめて
 グローバルに展開することが夢です!」


 ・
 ・
 ・

面接は完璧で隙のない受け答えができた。
面接官の表情は読み取れないが、間違いなく好印象。

「最後に、なにか質問はありますか?」

「そうですね、1つだけいいですか?
 私は受かりますか?」

「ええ、採用を前向きに検討します。
 あなたの受け答えと勉強の成果が見えたのがよかったです」

「わぁ! 嬉しいです! ありがとうございます!」

私は嬉しくなって頭をしこたま下げた。
面接官は腹に抱えていた疑問をぶつけた。

「では、最後にこちらから1点だけよろしいですか?」

「はい! なんでもどうぞ!!」




「どうして、面接中ずっと白目だったんですか?」