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のりたまご
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novelistID. 59437
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21世紀の呪い

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私には幼い頃から夢があった。
パティシエになり、私が作るお菓子で、多くの人たちを笑顔にしたいという夢。
この夢を持ったきっかけは、ある日、テレビでパティシエの特集をやっており、人のために一生懸命お菓子を作るパティシエの姿に感動したからだ。
しかし、子供の時からこのことを周りの大人に伝えると、皆、決まって悲しそうな顔をしていた。
その理由をしったのは、私がもう少し成長してからだ。
ある日、私の夢を知った父が私に言った
『お前の夢は絶対に叶わない、お前の将来の仕事は俺の仕事を引き継ぐことだ』
私は、父を尊敬していたし、大好きだった。しかし、父のしている仕事は嫌いだった。
父の仕事は、年中世界中を飛び回り、大勢の人の目に常にさらされ続ける仕事だ。
『冗談じゃない!あんな仕事継げるか!あんな落ち着きがなく人の目にさらされる仕事はまっぴらだ!』
それを言った瞬間、場の空気が凍った。私は、しまったと思った。父の仕事を悪くいうのは、父を悪くいうことに間接的に、繋がってしまったと思ったからである。しかし、父はどこか懐かしそうな顔をして言った
『俺も最初はそうだった。こんな仕事継ぎたくもないってな。でもな、これは俺たち一族にかけられた呪いみたいなもんでな…どんなに反抗しても、
先代が死んだら必ず次の代がこの仕事を継がなきゃなんねえ。俺も随分反抗したもんだ…。俺は昔から弁護士になりたかった。正義のヒーローみたいでかっこよくてな。資格を取るために毎日必死に勉強したもんだ…そりゃあ呪いのことは知ってたさ、でも、資格さえとっちまえばこっちのもんだと思ったんだ。でも、無駄だった。』
私は、納得できなかった。この21世紀にもなって呪いだと?バカバカしい。私の人生がそんなもので左右されてたまるか!
父が何を言おうと、必ずパティシエになって、自分の店を開くんだと子供ながらに決心をした。


30年の年月が流れた。父は死に、私は今、父の仕事を継いでいる。父の努力がそうであったように、私の努力も無駄であった。呪いは実在したのだ。
昔の私の夢からは大きく外れ、大勢の人の目にさらされる余り、自由に何かをすることもできない生活を送っている。
来月、私の子供が産まれる。男の子のようだ。これから数年後に、私は今度は親の立場で、私の子供に呪いのことを話さねばならない。
外見では他の子供と変わりなく、他の子供と同じように将来の夢をもっている愛しき我が子の夢を潰さねばならない。
まったく、忌々しいものだ。国家の象徴であるということは…
作品名:21世紀の呪い 作家名:のりたまご