春の星、泪引いて
歌があまりにも強く刷り込まれていて、すばると聞いたらすぐコロッケを連想する人も多いかもしれない。
プレアデスの七人姉妹の物語はファンキーで結構好きだ。
狩人オリオンに追われた美しいプレアデスの七人姉妹が星になって、天に上がったというもの。
すばるは勾玉の首飾り。
どっちにしても、ロマンチックで、柄にもなくわたしもとろっとする。
星のつなぎかたはあまりよく知らない。
OL時代に同僚の男の子たちと、飲み会の帰りになんとなくそぞろ歩いていたら、
中の一人が夜空を見上げていたわたしに言った。
「星好き?」
「うん好き」
「わかる?」
「わかんない」
「つなぎかた解ったらおもしろいよ」
「うん今度調べてみる」
その時、教えてもらってプレアデスを見つけた。
ほのかに明るい星のしみ。
その後の人生で、彼のアドヴァイスに従ったのは星座早見盤を買ったことくらいで、ろくに勉強をしていない。
していないけれど毎晩のように、ばかものの天文学者みたいに星をちょいちょい見上げる。
哀しくてしょうがないときに星を見ると、頭を冷水で覚まされたようになるのが普通だが、春はだめだ。なぜかだめだ。
なべてこの世の生まれ変わる時、自分が宇宙の限りある一粒として散ることに、なぜか思い至ってしまう。
自分だけではない。父母も輩(ともがら)も、だんなさんも。
大事にしてる小物も好ましい街もやわらかい花々も。
春の星はやさしく、にじんでいる。
見ていると星が淡いのか、自分が泪を浮かべてしまってるのか、わからなくなる。
泪が頬を垂れる。
有機的流れ星、か。