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青井サイベル
青井サイベル
novelistID. 59033
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音楽性の相違

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自分の愛してきたものを全否定されたらどうか。


そりゃもう、怒るというか激しく傷つく。
だんなさんはわたしの愛してきた音楽を嫌い、わたしは彼の愛してきた音楽が嫌い。
それは動かしがたく、無理に好きになることもできない。
そんな音楽を好きなあんたの人間性を疑うよ、ぐらいの大喧嘩になる。
どうしたもんか。
今しがた、またそんな喧嘩をした。
彼は酒に酔ってつぶれてる。
わたしは独り自分のその「好きな音楽」をiPodで聴きながら、考える。


人に歴史あり。
人は人。
人の好きなものを認め、好きになるまでいかなくとも思いを馳せながら分かち合う。それがわたしたちにはできない。
双方がかなりの音楽マニアである故に、それぞれがかなりのごり押しになる。彼はわたしの聴く音楽の9割以上が嫌いだそうだ。
9割。
だから何度も喧嘩を繰り返した挙句、最近の言い争いに、わたしはイヤホンを使うことにした。
彼と自分を守るために。


考えの違い。
そういうことで分解するバンドなんかがよくある。
愛してきたものを否定されたら。
そこを去るしかない。
わたしはここを去れない。
創意工夫で乗り切るしかない。


どうして愛せない。
どちらも素晴らしいはずなのに。


どちらも素晴らしい、はずなのに。


音楽って、そんなひどい仕打ちを、人にするものなの?
いまわたしは少し泣きながら、聴いてる。
愛してきた音楽を。
作品名:音楽性の相違 作家名:青井サイベル