「父親譲り」 第十六話
「さっき話していた沙代子さんの彼と一緒に温泉へ行くという事、決めていいかなあ?」
「沙代子さんには聞いてないけど、きっと喜んでくれると思うわ。彼女最近落ち込んでいるみたいだから私たちで励ましてあげたいの」
「美津子さんは優しいんだね。そうやって友達のことをずっと考えてあげている」
「友達っていう年齢じゃないけど、尊敬できる先輩なの。職場で私を援護してくれたしね。謙一さんにしたらって言ってくれたのも彼女なのよ」
「そうなの?それは感謝しなきゃね。彼女の彼ってどんな人なのか聞いているでしょう?会ったこともあるの?」
「顔は婚活パーティーで見ているから知っているけどそれぐらいかな。なんでも亡くなった奥さんに沙代子さんが似ているって迫ったのが口説き文句だったみたい」
「本当かな~だとしたら沙代子さんはとっても比較されるようで辛い気持ちになるって思えるけどどうなんだろうね」
「そうね、比べてしまうわよね。私なら嫌だって感じる」
「沙代子さんがそれでも付き合っているのは違う部分で癒されているのだろうか」
「彼女は苦労して来ているからお金とか地位とかより本当の優しさを求めているのかも知れないってこの頃思うの。その彼とのことも、自分の中の感情に置き換えて可哀想だとか、純真だとか、一途だった人なんだとか美化してほだされているっていう感じに見て取れるの」
「なるほどね。この人だったら自分を心から愛してくれるかも知れないと気付かされたんだろうね。その通りになってくれるといいんだけど」
「うん、彼女には本当に幸せになって欲しいと願うわ」
「美津子さんも幸せになれるよ。いや、して見せる。10歳も年下のこんな可愛い人がボクの奥さんになるということが今は夢のようだよ」
「謙一さん・・・」
謙一の言葉は美津子に魔法をかけた。
明日は両親にはっきりと話そう、そう決めていた。
夢なら覚めて欲しくない、そう思いながら彼の温もりを感じながら眠りに就いた。
翌朝笹川は車で自宅まで送ってくれた。
直ぐに着替えて美津子は出勤した。会社から沙代子に昨日のことを昼休みの時間に電話で話した。
快くOKして彼に聞いて都合のいい日を知らせると言って貰えた。
「沙代子さんには聞いてないけど、きっと喜んでくれると思うわ。彼女最近落ち込んでいるみたいだから私たちで励ましてあげたいの」
「美津子さんは優しいんだね。そうやって友達のことをずっと考えてあげている」
「友達っていう年齢じゃないけど、尊敬できる先輩なの。職場で私を援護してくれたしね。謙一さんにしたらって言ってくれたのも彼女なのよ」
「そうなの?それは感謝しなきゃね。彼女の彼ってどんな人なのか聞いているでしょう?会ったこともあるの?」
「顔は婚活パーティーで見ているから知っているけどそれぐらいかな。なんでも亡くなった奥さんに沙代子さんが似ているって迫ったのが口説き文句だったみたい」
「本当かな~だとしたら沙代子さんはとっても比較されるようで辛い気持ちになるって思えるけどどうなんだろうね」
「そうね、比べてしまうわよね。私なら嫌だって感じる」
「沙代子さんがそれでも付き合っているのは違う部分で癒されているのだろうか」
「彼女は苦労して来ているからお金とか地位とかより本当の優しさを求めているのかも知れないってこの頃思うの。その彼とのことも、自分の中の感情に置き換えて可哀想だとか、純真だとか、一途だった人なんだとか美化してほだされているっていう感じに見て取れるの」
「なるほどね。この人だったら自分を心から愛してくれるかも知れないと気付かされたんだろうね。その通りになってくれるといいんだけど」
「うん、彼女には本当に幸せになって欲しいと願うわ」
「美津子さんも幸せになれるよ。いや、して見せる。10歳も年下のこんな可愛い人がボクの奥さんになるということが今は夢のようだよ」
「謙一さん・・・」
謙一の言葉は美津子に魔法をかけた。
明日は両親にはっきりと話そう、そう決めていた。
夢なら覚めて欲しくない、そう思いながら彼の温もりを感じながら眠りに就いた。
翌朝笹川は車で自宅まで送ってくれた。
直ぐに着替えて美津子は出勤した。会社から沙代子に昨日のことを昼休みの時間に電話で話した。
快くOKして彼に聞いて都合のいい日を知らせると言って貰えた。
作品名:「父親譲り」 第十六話 作家名:てっしゅう