あなたは一冊の本だ。
何気なくその背表紙をなぞり手にし
ページをはぐって目を疑った
それはわたしの求めていたすべての物語
喜怒哀楽
終わりのない冒険
森羅万象
終わりのない
それは終わりがない
一冊の本だった
あなたは
何があなたをそうさせた
このすべてはわたしのためのものなのか
それともあなたのための
誰か他のものであってほしくない
心から願った
他の誰にもこの本を
読まれたくない
触れられたくないと
あなたはそれを聞き
驚いた顔をした
それを含め
あなたの持つ愛も嫌悪も
すべてわたしのもの
あなたがもしいつかみまかっても
その激しい優しい
綴られた言葉は終わることがないだろう
あなたは不死身
わたしがあなたにとって
一冊の本だったらいいのに
そうなのだろうか
そうだといい
醜さも愛も含めて
作品名:あなたは一冊の本だ。 作家名:青井サイベル