イメージ 〈詩集〉
揺れる花
五月の爽やかな風が君の頬を撫でてゆく
君は少し顔を上げて風に身をまかせる
少し恍惚とした君のその表情に
僕は嫉妬に似た感情を抱き苦笑する
君の髪がさらさら揺れて光の粒を撒き散らす
丘一面に咲く赤いシャーレーポピーが
五月の風を受けてしなやかに踊っている
目の前にあるひときわ赤い花びらが
まるでくすぐられて身もだえしているようで
笑い声さえ聞こえてきたように思う
聞こえてきたのは昔の君の笑い声かもしれない
盗み見た君の横顔はすっかり大人の女で
戸惑いながら揺れているのは自分の心
日陰に行こうよと君が言う
見上げる空に雲は無い
見下ろす丘一面に咲くシャーレーポピーが
五月の風を受けてしなやかに踊っている
斜面を風が駆け上がってきて僕の頬を撫でていく