イメージ 〈詩集〉
とけいそう
とうとつに訪れた別れの時
けんかしていた頃がなつかしい
いいんだこれで
そう思い込もうとしても
うそだとどこかで思っている
とりあえずこの町を出よう
けいるいを断って新しく出直そう
いつかきっと笑って話せる
そうさ残りの人生で今一番若い
うかれず恐れず諦めず
とおのいて行く町を眺める
けし粒のように見える家々に
いくつもの幸と不幸が漂う
それさえ持たぬ己の自由と孤独
うらむまい嘆くまい
とけいが柔らかく崩れる
けん悪も倦怠も剣呑も溶けて
いま何かを生もうとしている
そう難者のように今は生きるだけ
うしなうものの無い清らかさ