イメージ 〈詩集〉
既視感
初めての場所なのに
前にも歩いたような気がする
白い花の咲いている細い道
草の匂いも風も記憶にある
花冠を編む少さな男の子
小さい女の子が真似ている
薄曇りの空と勢いを増してきた緑
風が連れ去り風が連れてくる
妻と娘がしゃがみ込んで
四つ葉のクローバーを探している
無いねえと言い合う低い声
風が連れ去り風が連れてくる
前にも来たことあるよね
君の声が心地よく耳をくすぐる
初めての筈だよと言った返事
風が連れ去り風が連れてくる
もう初めての場所ではない
白い花が咲き草の匂いのする道