イメージ 〈詩集〉
あの日の涙
廻りを花々に囲まれて
妻は恥ずかしそうに微笑んでいる
私は弔問に来てくれた人と挨拶を交わす
あなたが何かを言った時に
抑えていたものが溢れてきた
こんなはずじゃない
どうしたんだろう
あなたの言った言葉は関係ない
違う、違うんだ
私はそんなにあなたを知らない
そんなに感激したような顔をしないでください
あなたよりずうっと
悲しんでくれる人がいっぱいいるのに
その人達の前では泣かなかったのに
違う、この涙は、違うんだ
お願いだから、私の前から去ってください
勘違いされます
あなたを知っている人はここには誰もいないのです
ああ、そんな目で見ないで
どうしてわかってくれないのですか
娘も怪訝な顔をしています。
ああ、違う、違う、違うんだあ
看護婦さん
制服で来てくれればよかったのに