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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「父親譲り」 第十二話

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「たしかモロッコだとか・・・どこの国でしょう、知りませんが。日数は一週間ぐらいだと言ってましたけど」

「ふ~ん、アフリカだよね。地中海には面しているけど。遠いね。仕事休めないだろうからどうするか難しいね」

「そうなんですよ。結婚するなら辞表出して行くかも知れませんが、そこまでは会ってすぐに決めれませんから今回はお断りしようかと思っています」

「そうね、急に言われても困るわね。エッチだけしてバイバイすれば?」

「えっ?そんなことするわけないじゃないですか・・・もう人の事だと思って・・・」

「そう?ひょっとして相性が良ければ着いて行っても構わないって思えるかもよ」

「相性良くなければどうするんですか?」

「それは、損したと思うしかないよ」

「嫌です。多少なりとも好きと言う気持ちが無いと割り切れないですよ」

「そんなこと言っていたら、いい男はさっさと別の女を見つけて結婚するよ。やっちゃったら女は強いの。責任とってって言えるからね。解る?」

「解りますけど、遊ばれて捨てられるのは嫌なんです。私みたいな美人でもない30過ぎの女はそこが最後の砦だって思わないと悲しいんです」

「あなたも相性のいい男を見つけると意気込んだ割に真面目に考えているのね。私は美津子さんのことどうのこうのって言えるような立場じゃないけど、もう一度会って真面目に考えてくれるならモロッコから戻って来て付き合って欲しいと話してみたら?」

「うん、そうですね。私のことが気に入ってくれているなら出張に着いて行くことが絶対条件だとは考えないと思います。それが条件なら旅行中のセフレだと思ってしまいます」

「確かにね。彼にとって美津子は大切なのか、好都合なのか、その見極めよね」

「はい、明日電話してお帰りを待っていますと言います」

「それがいいよ。じゃあ今夜はこれで。ちょっと疲れちゃった・・・」

「いいことしたんですか?」

「うん?そうね・・・彼意外だったの」

「見た目優しそうで細身ですけど、もしかして相性が良かったとかですか?」

「違うの。その逆」

「がっかりだったということですか?」

「そうなの。また会った時に話すね。おやすみなさい」

「解りました。ゆっくり休んでください。おやすみなさい」

沙代子が情けにほだされて付き合った彼と、これからどうなるのだろうと美津子は考えてしまった。