小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

世界面接官はみんなすごい

INDEX|1ページ/1ページ|

 
『おめでとうございます!
 世界面接官に選ばれました!』

神に呼ばれてやって来たのは面接ルーム。
俺以外にも数人が呼ばれているみたいだった。

「あの、ここで俺はなにを?」

『みなさん、私は暇だったので世界を3つ作りました。
 1つは、何をやっても上手くいくイージー世界。
 2つは、たまに失敗するノーマル世界
 3つは、失敗ばかりするハード世界』

察しの良い男の一人が感づいた。

「ははぁ、それで我々にその選別をしてほしいんだな?
 誰がどの世界に行くべきかの面接をしろと?」

『そうです、お願いします』

神の言葉はそこで止まった。
部屋に残された俺たち面接官は顔を見合わせた。

「俺たちが判断するのか?」

「ええ、そうだわ。
 きっと神に選ばれたのね」

「神に選ばれた我らが、
 誰がどの世界に行くべきか決めるのだ」

軽く話していると、部屋のドアが開いてきた。

「佐藤秀人といいます!
 本日はよろしくお願いします!」

「では、おかけください」
「失礼します!」

はきはきと答える青年。
それだけにマニュアル本を丸のみしてきたみたいだ、バツ。

「趣味は?」

「趣味は旅行です!
 世界各国を回り、たくさんの人々と触れ合いました!
 なので、イージー世界でより多くの人と触れ合って……」

はい、マニュアル人間確定、バツ。
どうせ俺たち面接官にいいかっこしたいんだと
旅行なんて言うのも口実だろう。

青年が帰ると、さっそく面接官で審議を始めた。

「どうでした?」
「用意してきた台本を読んできた感じですね」
「あんなのは我々のイージー世界の住人にはふさわしくない」

青年はイージー世界不採用となり、ノーマル世界行き。
次の人が入ってきた。


「はじめまして、林雪村といいます」


今度は少し落ち着きのある男性。
でも、なんだか元気がない、バツ。

「お仕事はなにを?」

「広告代理店に勤めた後、会社を立ち上げました。
 人材育成にも力を注ぎ、IT関連会社との連携も……」

相当に仕事ができるらしい。
でも、なんか自慢している感じがする、バツ。

「ありがとうございます、では失礼いたします」

2人目が帰ると、ふたたび審議に移った。

「なんか鼻につく人でしたね」
「イージー世界に送ったら調子のりそうね」
「優秀なだけではダメだ。ノーマル世界行きだな」

男性はイージー世界、不採用となった。
今度は3人目がやってきた。


『ドウモ、タケウチ・ジュンヤ、デス』


人口声帯から事務的な声を出しながら、
車いすの男が入って来た。
俺たち面接官もさすがにぎょっとした。

「えと、あなたは何ができますか?」

『ナンデモ、デキマス。
 キーボードノ、ハヤウチ、セカイイチ。
 ギンコウニモ、ツトメテイタノデ、データカンリモトクイ、デス』

話を聞くほど、男の優秀さに舌を巻いた。
3人目が出ていくとすぐに審議に移った。

「すごいい人でしたね」
「でも、あれはね……」
「全部カタカナで分かりにくい。ノーマル世界行きだ」

3人目もノーマル世界へと行き先が決定した。
すると、頭に神の声が聞こえてきた。


『これで面接は終わりです。ありがとうございました。
 今から私もそちらに戻ります』


「いやぁ、大変でしたね」
「ま、どれも普通な人でしたね」
「ああ、我々の世界にはふさわしくない」

間もなく、神が面接室にやってきた。

「みなさん、はじめまして。私が神です」

そこにいたのは、最初に面接した青年だった。

「実は3人とも、変身した神の私だったんです。
 あなた方をどの世界に行くべきか面接していました。
 そして、3人ともハード世界行きを決めました」

「ま、待ってくれ! そんな急に!
 せめてアピールするチャンスを!」

「いいですよ、では、どうぞ」

神は優しい笑顔でこちらを見た。


「えーっと……俺は、その、誰よりもやる気があって……」

「わ、私は、昔はモテて……その……」

「我は……未完の歴史小説を書いていて……」


「やっぱり、ハード行き決定ですね」

神は満面の笑みで、俺たち面接官を地獄へ送った。