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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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責任は子孫にまかせたっ!

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「それじゃ、この仕事の責任はお前な」
「えええええ!?」

また俺の責任にされた。
昔から不幸体質というか、貧乏くじというか。
毎回、他人の責任を取らされる場面が多い。

社長のところまで行くと、
仕事の失敗をなぜか俺が謝ることに。

「このたびは、誠にすみませんでした!」

「いいんだよ、誰にでも失敗はある」

「社長……!」

「でも、お前はクビな」

「社長ぉぉぉぉ~~」

そんなわけで、トントン拍子に首になった。
家に帰りにくくなり、ふらふらと時間をつぶしていたら
風に飛ばされてきた用紙が顔に引っかかった。

「ぷはっ、な、なんだぁ!?」

どうやら書類らしい。

【連帯子孫責任】

「ああ、助かりました。
 すみません、その書類、風に飛ばされてしまって」

慌てて役所の人間がやってきた。

「あの、この書類は?」

「連帯子孫責任登録書ですか?
 これは自分の子孫に責任を負わせるものですよ」

「え、じゃあ、俺には? 俺の責任は?」

「基本的には、責任が肩代わりされます」

「おおお! それ最高じゃないか!」

役所にいくと書類を束でもらってきた。
その足でパチンコ店に入り、思いっきり負ける。

「お客さん、お金あるんでしょうね?
 店から借金して、お金ないっていうんじゃ許しませんよ」

「金は……無いッッ!」

「なに強気に言ってるんだ! 金がないんだったら……」

「でも、俺の子孫が払ってくれる!」

書類を渡すと、店員の顔色が変わった。

「……なるほど、子孫が払ってくれるんだな」

店員は納得して俺を解放してくれた。

連帯子孫責任、最高じゃないか。
俺の子供や孫には悪いが、責任を負わされないのは最高だ。

気分よく町を歩いていると、
目の前に巨乳のお姉さんが乳を揺らしながら歩いてきた。

閃いたのは悪魔の考え。

「えいっ」

「きゃああああ! 痴漢!!」

人目も気にせず、直接胸を触ると思い切り叫ばれた。
甲高い悲鳴に警察がすっ飛んでくる。

「お前、なにをしているっ!
 痴漢現行犯で逮捕する!」

「そうですか、それじゃこれを」

俺は子孫連帯書類を警察に突きつけた。
これで、責任は俺の子孫が取ってくれる。俺は悪くない。


ガチャン。


「あれ?」

「ほら、行くぞ」

俺の両手には冷たい手錠が課せられる。

「ちょ、ちょっと!? 書類見ました!?
 俺は悪くないんですよ! 責任は俺の子孫が……」

警察官は手元の『未来診断機』で検索し、答えた。


「お前に子孫なんていない。お前が末代だ」


痴漢の罪とパチンコの借金のダブルパンチで
俺の出所は何十年も先となった。
当然、こんな最低男と結婚する人は誰もいなかった。