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前にお母さんのところの転覆さんでしていた、おさじでのエサやり。
プラスチックの小さなおさじにエサを数粒入れて、カゴとガラスの隙間から入れる。
弱ってるかと思いきやお腹が空いていたのだろう、今までろくに食べれていなかったからか、浮いた状態でおさじ目掛けて泳いで来た。
おさじの中に顔を突っ込んで口に入るだけのエサを入れる。
たまに口に入れ過ぎて落ちて行く…。
それを取りに行こうとするけど、二、三センチしか潜れない。
本人は取りに行ってるつもりだろうけど、全く潜れてない。
そんな事を毎日繰り返していたある日、カゴの深さ十二センチを潜った瞬間を見た！！
これは行けるぞっ！！と思った瞬間だった。
お母さんに電話してその事を伝えた。
お母さんも驚いていた。
それから一週間ほどで何度も潜る姿を見た。
そして私は練習と思って、カゴから転覆さんを出してあげた。
もちろんピンポンパンは出さずに。
水面まで浮くかも…という予想とは違った。
四十五センチを潜って行った。
泳ぎ方はぎこちなかったけど、下まで泳げた。
私は水槽の前で驚き拍手していた。
それから数日、リハビリがてらエサの時間はカゴから出してあげた。
自力で取らせるために…。
エサを撒いて転覆さんの行動を見る。
・・・地面のエサを・・・取った・・・。
モグモグしている・・・。
まさか地面のエサを取りにまで行けるなんて思ってもいなかったから、転覆は治るんだと知った瞬間だった。
ちょっとシッポの付け根が曲がってるけど、今はもう隔離される事なく大きな金魚さんの家の中や、自分が浮かないようにカゴの下で眠るようにまでなった。
転覆さんの学習能力かも～。
ずっと水面にいてみんなと楽しく出来なかった時間が嘘のようになった。
ゆきのとは違う人生だけど、金魚なのに泳げない潜れないという経験をした。
今では、転覆さんはみんなと一緒の生活に戻っている。
ちょっと泳ぎ方はおかしいけど、それを上手に受け入れているようにも見える。

一度だけピンポンパンをカゴから出してみた。
もう懲りているかと思って…。
ものの五秒で蹴散らしが始まった。
『はい、撤収～。』
という事で、今も尚、カゴの中の囚人となっている。
ピンポンパンのエサやりは、おさじで何度もやってみたがダメだった。
カゴの底も網なのでエサは落ちてしまう。
なので、プラスチックの蓋を結束バンドで固定してそこにエサを入れている。
まるで犬のエサやりのようだ。
ちゃんとその中のエサを食べるし…。
なんでもやってみるもんだなぁ～とまたまた勉強になった。

金魚と馬では住む世界が違う。
金魚たちは六十センチの水槽の中、馬たちは百メートル以上もある地面の上の世界を生きている。
なのに、苦労したり仲間と上手く行かなかったり、縄張り争いがあったり…。
でも、同じようにごはんを食べてお糞をして毎日夜は寝る。
人も同じ事で、やっぱり夜は寝る。
なんだか黒モジャのおかげで面白い事が勉強になったな～。

とまあ、こんな事を言うと黒モジャが調子に乗りそう…。
『オレのおかげっ！！』
かなんか言いそう…。
そしてまた馬たちに覆されて、新たな発見があるのかもしれない。