憧れのあの子
大人しい性格の少女。
本当は根は明るいのだが、クラスに溶け込めず、中々それを表に出せずにいる。
祐樹に憧れを抱いている。
【男:鈴木 祐樹(すずき ゆうき)】
クラス委員の明るく、活発的な男の子。
誰にでも平等に接し、先生、生徒からも信頼が厚い。
遥に対しても明るく接しているようだが…?
1、遥「(サッカーの試合か、皆あんなに走り回って凄いなぁ。
私の学校のサッカー部は強いみたいだし、皆上手いのは同然だよね)」
2、祐樹「よっ!」
3、女子「きゃーーー!! 祐樹君頑張ってーー!!」
4、遥「(相変わらず祐樹君はモテモテだなぁ。
あの子は勉強も出来て、スポーツも出来るわけだし、カッコイイし。
私もあの子みたいに出来――)」
5、祐樹「危ないッ!」
6、遥「へ? あっ…!」
(遥の顔面にサッカーボールが当たる)
7、先生「おい、どうした!?」
8、祐樹「俺の蹴ったボールが谷口の顔に当たっちゃって…!
おい、大丈夫か!?」
9,遥「う、うぅ…」
10、祐樹「…俺、責任持って谷口を保健室に運んできます!」
【保健室】
11、遥「(あ、羊が柵を飛んでる。 もこもこしていて可愛いなー。
何匹羊が飛んだんだろう? わぁ、凄い羊が集まって…。
あれ、沢山の羊がこっちに突進してくる? え、ちょっ、ちょっとまっ…!)」
12、遥「メリーちゃんに潰されて終わる人生なんていやぁぁ!!
……。(呼吸を荒く)
…あれ? ここ、何処? 保健室…?
(だ、誰にも見られてないよね、よかっ…)」
13、祐樹「メリーちゃんってなんだよ、どんな悪夢見てたんだよ、お前」
14、遥「ぴぎゃああ!!」
15、祐樹「い、いきなり大声出すなよ、俺が悪い事したみたいじゃねぇか。
いや、したか…。 ごめん、大した怪我はなさそうだけ」
16、遥「ぴぎゃあああ!!」
17、祐樹「今度はどうした!?」
18、遥「私を潰そうとしたのはメリーさんじゃなくてメイちゃんだった!
飼い主の私がペットの名前を間違えるなんて…!」
19、祐樹「激しくどうでもいい。
え、お前家で羊飼ってるの? 何処の遊牧民?」
20、遥「ぴぎゃあああ!!」
21、祐樹「その動物みたいな悲鳴やめろ! 今度はなんだよ!?」
22、遥「な、何であたしこんなところで寝てて、鈴木君がいるのでしょうか…?」
23、祐樹「…あ、あぁ。 ごめん、その件については俺が…」
24、遥「ちなみに、メイちゃんとメリーちゃんは私の可愛がっているぬいぐるみです」
25.祐樹「あ、飼ってるわけじゃないのね。
つか、ぬいぐるみならペットって言わないだろう」
26、遥「半年に1回毛を刈らなきゃいけないの。
あの子達、毛が伸びるから」
27、祐樹「え、なにそれ。 呪われた人形のぬいぐるみバージョン?
それはそれでこえぇよ。 除霊して貰えよ。
――じゃなくて! まずお前は俺の話を聞け!」
28、遥「はい」
29、祐樹「いや、そんな背筋ピーンってしなくてもいいけどさ。
俺の蹴ったボールが谷口の顔面に当たったんだよ、
んで、呼びかけても起きないから結構びっくりしたけど…大丈夫そうだな、良かった。
ごめん、俺の不注意で」
30、遥「ううん、大丈夫。 有難う、心配してくれて。
えっと…、先生がここまで私を運んでくれたの?」
31、祐樹「いや、俺」
32、遥「はひっ!?」(顔を真っ赤にする)
33、祐樹「な、なんだよ、いきなり。
そんな反応されるとこっちも恥ずかしいんだけど…」
34、遥「…たか?」
35、祐樹「え?」
36、遥「あたし、軽すぎて持ちがいなかったですよね…すみません…」
37、祐樹「…間逆の心配をする奴はいると思うが、そんな心配をする奴を見るのはお前が初めてだな」
38、遥「すみません…私がボーッとしていなければ…」
39、祐樹「いや、謝るのは俺の方だ、ごめん。 俺のせいで…」
40、遥「考え事をしていたもので…」
41、祐樹「そんなにややこしいこと考えていたのか?」
42、遥「うん…祐樹君はカッコイイなと思って」
43、祐樹「……」(軽く驚いた感じで)
44、遥「……」
45、祐樹「……」(恥ずかしそうに、目を逸らす)
46、遥「…!」
47、祐樹「気づくの遅い」
48、先生「おーう、谷口! お前目が覚め――。 ……。
アディオス。」
49、祐樹「いや、何もないから! 何でそんなカッコつけて去っていくの!?
本当に何もないから、ちょっ、待ってくれ!!」
50、遥「クスッ…」
51、祐樹「…谷口。 お前、ずっとそんな風に笑ってたらいいと思うぜ」
52、遥「へ?」
53、先生「ガキ共が青春してんじゃねぇよぉぉ!!」
54、祐樹「何ニヤニヤしながら横歩きで去ろうとしているんだよ! 待てぇ!!」
【完】