我が子を喰らうサトゥルヌス
子を愛するすべての親に
あなたは我が子を追い詰め その豚のように平らな歯で
咀嚼し飲み込もうとしている
あなたは道を見失った
私はあなたを見る者
そして略奪者
あなたは所有の欲にとらわれ狂う
我が子を友人から 教師から 恋人から
奪還せんと
見なさい
あなたの本当の願い
それがあの絵に描かれている
泣き喚くような顔で
我が子を喰らうサトゥルヌス
あなたは何を恐れる
恐れる
そう愛の代わりにあなたがしっかり掴んでしまったそれ
しっかりあなたを捕まえてしまったそれ
あなたは急きたてられる
見なさい
あなたがもし本当に我が子を愛するのなら
放ってやりなさい
その檻から
子どもは喜んであなたの手に還ってきて歌うだろう
あなたがもし本当に我が子を愛するのなら
隅に追いやり 骨を割り 神経をついばむのをやめなさい
これはあなたの子の引き裂かれる絶叫
聞こえるか
あなたはかつて
親に喰らわれんばかりの子どもだった
あなたは親になって その立場をどうしたか
見なさい
この子は私が貰い受けます
あなたが非道いことをする前に
私があなたを喰わなければならない
あなたも無から生まれ 無に帰す
なぜ執着する
この子の泣き叫ぶ声が
聞こえないのか!
難しいだろう?
あなたの作った
理不尽な愛に基づく掟を破った我が子を許すのは
我が子をそうそそのかした悪餓鬼らを許すのは
あなたは繰り返し許さねばならない
制裁を与えるのはあなたではない
あなたではない
あなたは愛がどんなものか
忘れたのか
あなたは与えることを忘れ
業突張りな商人のようにすべての元を取りたがった
それが裏切られたといって
あなたは我が子を喰らおうとしている
私は見る者
そして略奪者
あなたの欲がどこから来て
どこへ向かうのか
よく考えるのです
我が子を喰らうサトゥルヌスよ
この子は私が連れて行きます
作品名:我が子を喰らうサトゥルヌス 作家名:青井サイベル