不定形の焦燥
小鳥のように
さえずるだけで生きていけたらよかった
小さな翼を青空にはためかせて
愛なら愛をうたい
死なら死をうたい
よろこびをうたい
時に悲哀をうたい
あなたへ
あなたへ歌いかける
ところが
人間のすべきことがいかに多いか
あなたへ届く言葉を探して見つけて紐解いて
そうすると
あなたのまなざしがわたくしを認めて
微笑みをくださる
その時だけ
生きていてよかったと思います
嗚呼けれどもわたくしは今
言葉を持つということが
苦しくてたまらない
嗚呼人間のすべきことはいかに多いか
煙のように
水のように
風のように
砂のように
常に流動する
形の定まらぬわたくしの不安は
輪郭を持たない悪戯書き
読み取る人のない
手紙とおなじ
空に憧れて翼を求めた人間とて
いつまでも小鳥ではいられないのです
擦り切れたこころは
涙の代わりに血を流す
嗚呼人間として生まれるべきでなかった