バトン詩
セラフィム、ケルビム、
天使らがうれしいそのあまり
もしくはかなしいそのあまり
天上で羽根ふるわせてそのあまり
こぼれた羽根が降るのです
■キーワード2 『月』
蒼き汝が熱よ、我を照らし給え
いついかなるときも我を護り給え
住人よほほえんで見つめ給え
この愚かなる渾身の生を
覚束ない足元を
濡れた貌を
■キーワード3 『花』
あなたの言葉を知っている
言葉は違ってもあなたはこう言っているのだ
「私はあなたを歓迎します、私の笑顔におとまりなさい、
蝶のように」
「私はいずれ枯れます、そして一年後、違う私で、同じ
姿で、またあなたの前に現れるでしょう
どこが違うのでしょう、あなたと、あなたのこころと」
■キーワード4 『鳥』
私は鳥、いつでも飛んでゆくよ
あなたのところへ
太陽風の吹くところへ
泣いてる子どもの肩の上へ
恋人達の頭上へ
私がもしただの一歩も動けなくても
私はいつも一羽の鳥
「ヤー・チャイカ」(ワタシハカモメ)
■キーワード5 『風』
あなたが私を撫でる
懐かしさに私は目を細め、また涙する
あなたは大気と化して私の肺を出入りし
服を揺すり、髪を流し、また頬を撫でる
あなたともう永遠に離れることはない
■キーワード6 『無』
ほんとうの無があるとしても
恐れちゃいけないよ
すべてはそこから始まるのだから
暗闇に瞬き始める光が
やがて全天を覆いつくす星となるのだから
無が恋しくなったら
漆黒の闇に目を凝らして
やがてあなたは光を探し始める
■キーワード7 『光』
光あれ、と神は言われた
光は初めからあった
ただ舞台袖で合図を待っていただけ
ほらあなたの真っ黒な目の中にも
光が宿っている
私を照らすほどの光が
■キーワード8 『水』
水に棲む
それは私が弱いから
つねに酸素をたっぷり含んだ水に触れていないと
ひからびてしまうから
私はたっぷりしていたいの
いつなんどきも
人にきれいな水を差し出せる生き物でありたくて
■キーワード9 『火』
胸に炎吐く龍を飼う
その火はことば、その火はまじない
ひとも同じ火を持っていると知っているから
龍は硬い鱗で全身を守っている
龍はけれど気づいてもいる
火は浄化もすると
■キーワード10 『時』
振舞ってごらんなさい
時など存在しないように
失った声を取り戻したければ
■キーワード11 『虹』
ディメンションはつながった
色の織り成す接続線
さあ、虹に触って
虹の根元の銀の甕よりこちらのほうが大事
何を伝える? いま
ディメンションはつながった