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USED

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子供の頃からそうだ。

例えば、小学校の卒業式用に買ってもらった、

薄黄色の長袖ブラウス。

色も、肌触りも、小さな花の刺繍も

お気に入りで、

自分で言うのもあれだけれど似合っていた。

それなのに、

卒業式に向かう途中、

友達と下り坂を走っていて足がもつれて派手に転び、

肘を擦りむき、

ブラウスの袖の肘も擦り切れ、

修繕不可能となった。

友達との別れ、

ブラウスとの別れを悲しむ、

大泣きの卒業式となった。


中学のときの夏休みの、

家族旅行用に買ってもらった、

白いリボンの、

ウェッジソールのサンダルもそうだ。

ちょっと大人びたデザインで、

ヒールがあって背が高く見える。

親にねだってやっと買ってもらった。

それなのに、

旅行先の砂浜を家族で歩いていたとき、

犬のフンを踏んでしまった。

それもかなり大きく臭いものだった。

ウェッジソールのコルクにベットリと

染み付いたフンは、

旅先で洗うこともできず、

姉が持っていたゴム製の安いビーチサンダルを借り、

それを履いた。


フン付きのサンダルは、

ビニール袋に入れしっかりと口を結んだが、

匂いが車に充満し、

運転していた父は具合が悪くなって、

2泊3日の旅行は日帰りとなった。



 そんなこんなの子供の頃のトラウマで

“新しいモノを身に付けると不幸が訪れる”

というジンクスを唱える人生となった。


で、気が付けば、古着屋の常連となっていた。


 そして、いつも行く古着屋の、店長に恋をした。


バレンタインの日、

チョコレートが苦手な彼に、

生まれ年のヴィンテージワインをプレゼントし、

告白した。


彼は言った。

「店の服と一緒でユーズドでよかったら…」

彼はバツイチだった。

私は答えた。

「私のジンクスは、

“新しいモノを身に付けると不幸が訪れる”

なんです」。
作品名:USED 作家名:セリーナ