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青井サイベル
青井サイベル
novelistID. 59033
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ダイヤのありか、真珠の名

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ダイヤモンドや真珠は、いったいどんな女に着けて欲しいと願うのか?
そりゃ自分だっていちおう女だし、欲しいとは思うよ。
思うけど歯を磨き忘れたりいちにちじゅうねまきのワンピースを着てぶらぶらしてるような中年女じゃ、
石も「ムリムリムリ」と言いそうだ。




実は本物は、ダイヤに関しては見たことがない。
雑誌や広告ではあっても、手に触れたりじっくり眺めた経験がない。
真珠は一度だけ、友人の誘いで田崎真珠の店に行ったことはある。でももう目がくらんで何がなんだか全然。
どちらも、カジュアルで使える、さほど高くないものはある。
でも野獣派の女ならど真ん中を狙いたいでしょう。
「ほうらごらん」と。お下品に見せびらかしたいでしょう。



でもあまり歳くいすぎてから手に入れても、「そんなしわだらけムリムリムリ」と言われそうだ。
わたしの高貴なダイヤはいまだ地中で眠っているのかな。でも掘り起こされないのかもしれない。
わたしの清らかな真珠はいまだ海の中、真珠貝の中に眠っているのかも。
でも取り出されないのかもしれない。
浅き春の夜のはかない願いが少しだけ溶け出して、少しだけ酒が甘哀しくなってしまったかな。