夜のヒキガエル
それは秋だったけれど、如月の今思い起こしてみる。
その底にいるヒキガエルは、今の自分と大差ないなと。
孤独とどう向き合えるかは、人それぞれだと思う。
知る限りの友人に片っ端から連絡を取るとか、スポーツや料理や読書に没頭するとか、
単にひねくれ我儘になってそれだけか。
文を作ろうと思う。
夜のヒキガエルのようにしんしんと。
かれらは何も生み出さないかもしれないが、そう決めつけたものじゃない。
他のカエルたちと熱を分ちあい、眠るような思いを分かちあっているのかもしれない。
ヒキガエルたちは、やがて春、池に出て、池の花を優しくなぞってくれるのかもしれない。
昨夜は久方ぶりにしんしんと降るような孤独であった。
ただ、それを必要としていたことも、わかっていた。
痛みや苦痛、喜びなどのもろもろは、独りであることでいきいきと色づくのだと改めて感じていた。
じっと感じ、考えること。
恵みの意味を、この在り方を、いかに受け取るか。
ヒキガエルは秋冬には眠っていたが、新緑かがやく春には池を自在に泳ぎ回り、青春を謳歌していたのを思い出した。
孤独の果てに花咲くもの、そんなことを、想っていた。