実は、わたし、落ちるとき
誰かを殺すために
誰かを守るために
わたしは 落ちていくのでしょうか
―こちらを哀れんだ目で見つめているあの星が、
やたらに可愛らしいので、泣きそうなのです。―
地にたどり着くまでの 旅の途中
灰色じゃない世界を 何万回も祈っています
どうか、
お腹を空かせたあなたの瞳に恐ろしく映る鉄のかたまりすなわちわたしを
どうか、
砂糖の塊みたいに嫌になるほどに甘く存分に高カロリーなチョコレイトとして
生まれ変わらせてください
ぶっ壊してさしあげたいのは
当たり前みたいに転がる死に慣れてしまうことの濁った鼓動や
争いに勝つことでしか感じることの許されない自尊なのであって
あなたの笑った顔ではないのです
それでもわたしは
あなたが力なく揺らす、
ほんの小さな灯りに目を閉ざし、
食べて、太って、重力の言いなりに、
落ちて、 逝くでしょう
地まで30cm
わたしの祈りを聞いて欲しい。
作品名:実は、わたし、落ちるとき 作家名:konon