小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

バックアップは見た目が大事

INDEX|1ページ/1ページ|

 
空にはいつも変な星が1つあった。

「あれ、なんだろうな。
 太陽でもないし、月でもない」

「ロマンチックなこと言っても現実は変わらないぞ」

間もなく俺の地位ははく奪された。
他でもない俺の手によって。

※ ※ ※

この世界には2種類の人間がいる。
メインとバックアップ。

バックアップはメインの人間のクローンで成り立っている。
基本的に雑用とか誰でもできる仕事を担当する。

一方でメインは創造性のともなう仕事をしている。

メインの彼らが革新的なことをし続けているから
今日の世界の発展がある。

……まあ、そんなにうまくはいかないけど。

「お前、またメインの奴に地位を取られたんだって?」

「ああそうさ。ひどいもんだよな。
 あいつら挑戦で失敗しても
 バックアップの俺たちがいるからって……」

メインだって全員が全員天才なわけじゃない。
なんなら成功よりも失敗の数の方が多い。

失敗して地位や名誉を失っても、
顔が同じバックアップの俺たちから地位・名誉を肩代わりする。

そうすることで、失敗を恐れなくなり
常に挑戦を繰り返し革新的な活動をし続けることができる。

「バックアップの俺たちは本当にいい迷惑さ」

メインの奴らは自分たちが特別だと思って、
さも当然とばかりに俺たちから手に入れたものを奪い取る。

やっと手に入れた出世も。
苦労して買った車も。
ついに結ばれた最愛の人も。

バックアップとして作られた俺たちに幸せなんてない。
事故にでもなれば即臓器も持ってかれるだろう。

「まあ、そうしょげるなよ。
 今の仕事だってメインからのおさがりとはいえ
 悪いものじゃないだろう? がんばろうぜ」

「……ああ、ああそうだな」

同僚からの励ましもあって、俺は立ち直った。
この立ち直りの早さはバックアップならではなんだと思う。



新しい仕事を初めて数年がたった。

俺の会社はバックアップ業界では知らない人がいないほど
有名な企業へと大きく発展した。

「やったやった! 見たかメインども!
 俺たちはお前らからのおさがりをここまで再生させたんだ!」

そこに、俺のメインがやってきた。
まるで鏡でも見ているようにまったく同じ顔がそこにある。

「バックアップ、すごいじゃないか。
 もうメインの俺よりもいい仕事に就いているとはな。
 じゃあさっそく俺に渡してくれ」

「何言ってる! これは俺が発展させたものだ!
 いくらメインだといってもお前に渡すもんか!」

「下手に出ていればつけ上がりやがって!
 バックアップはメインに逆らうのか!!」

「ああ逆らってやるとも!
 バックアップだって感情はあるんだ!
 自分の成長を誰かにかっさらわれてたまるか!」


俺はメインから必死に逃げた。

けれどメインはどこまでも追ってきた。
バックアップが巣食う裏路地まで追ってきてついに捕まった。

「はぁっ……はぁっ……!
 行き止まりみたいだなぁ、さっさと観念しろ」

「……わかった。もうあきらめる。
 どうせここで逃げ切っても、お前は追ってくるだろうからな」

「さすが俺。物わかりがいいじゃないか。
 メインに必要以上に逆らうバックアップは処分される。
 メイン警察がバックアップを処分するんだ」

「それじゃ1つだけ頼んでいいか?
 俺の地位はすべてやるから、1時間ここで待っててくれ」

「1時間待つだけで
 素直にバックアップさせてくれるのなら安いものだ」

俺はメインにバックアップをさせると、
そっとその場を離れた。



1時間の間に最高級にこぎれいな服に着替え、
完璧なまでに身だしなみを整える。

そして、電話を一本かける。

「よお、遅かったじゃないか」

小汚い路地裏でメインは待っていた。
俺の後ろにいる人たちを見て不思議そうな顔をした。

「ところで、その後ろの男たちは誰だ?」

「ああ、ただのメイン警察さ。
 なかなかバックアップが協力してくれないんでね」

メイン警察たちは、俺の指示通りメインをとっ捕まえた。

「や、やめろ! 違う! バックアップはあっちだ!!」

「騙されちゃいけませんよ。
 こんな薄汚い路地にいる男がメインなわけありませんから」


メイン警察が信じたのはもちろん……?