スカウト
「えっ? 私ですか?」
「そうそう、君、君」
「なんですか?」
「いやー、君みたいな人を探してたんだよ」
「私みたい?」
「そう! いやー、君こそ2週間に一度の逸材だ」
「メッチャ、周期短いな」
「とにかく、探してたんだよ」
「……壺なら買いませんよ」
「……大きめの花瓶はどうだい?」
「さようなら」
「待って待って、冗談だよ。怪しい宗教じゃないから」
「じゃあ、なんですか?」
「もちろん、アイドルに決まっているだろう?」
「馬鹿も休み休み言って下さい」
「ああ、『アイドル』と言っても、すなわち、『偶像』。この木彫りの……」
「さようなら」
「待って待って、冗談だよ。ホント、宗教じゃないから」
「じゃあ、なんのスカウトなんですか?」
「グループのメンバーを集めているんだよ」
「なんの?」
「『束もの』だよ」
「『束ものアイドル』?」
「まぁ、そんな感じ。揃いの衣装を着て踊るんですよ」
「その衣装って、白一色だったりしない?」
「良く分かるね」
「で、揃いのペンダントとか首から下げて」
「そうそう」
「共同生活して」
「合宿は絆を深めるよね」
「で、みんなで言う決まり文句があって」
「『冥主様、お導き下さい!』」
「やっぱり、宗教じゃねえか」