いちねん
あの日と同じように二人だけ
防波堤に立つ彼に
同じように 危ないよ、と言う
近くに見える島、遠くに見える半島
同じ景色を眺めて立つ
1年ね、と彼が言う
1年ね、と私が呟く
来年もまた来よう、と彼が言う
来年ね、と呟く私を彼が笑う
何考えてる?
またひとつ歳をとってるなぁって?
それとも
来年もいっしょにいられるのかなぁって?
両方、私が答える
1年なんてあっという間だよ、口癖のように彼が言う
振り返ればあっという間だけど先を思う
とながい
わからないことはながい
わからないからながい
こうしてゆっくり二人の時間を
重ねていくことを望んでいるけど
ゆっくりというのは
考える時間をながくする
それがいいことでもあり
悪いことでもある
なんとなく
ぼんやりと
二人のことを想う時間が長くなるということ