動くな!これを買え!!
銃を突きつけた強盗は袋を前に差し出した。
「これに金を詰めればいいのか?」
「いや違う。この袋のものを買え」
「は?」
「買わないと命はないぞ!!!」
「ええええええ!?」
なんだこの回りくどい強盗は。
金が欲しければ最初からそう言えばいいのに。
「それで、この袋のものはなんなんだ?」
「それは言えない!
つべこべ言わずにさっさと買え!」
「いくらで?」
「有り金全部だ!」
「普通に金を要求すればいいのに」
「いいから早く買え! 今すぐに!
ハーリーアップ!」
仕方なく金を出して袋を買い取ることに。
持ってみると、じゃらと音がする。
ちょうどそのとき、外からサイレンの音が近づいてくる。
「はははは! 押し売り強盗!
お前もここで終わりだな! 警察が来たみたいだ!
誰が通報したのかしらないがお前は逮捕されるぞ!」
いまどき銃を突き付けて金を出せ、なんて
火サスでもやらないようなベタな作戦するからだ。ざまみろ。
安心して袋を見てみると、
高価な宝石がごろごろと入っていた。
たしかにこれを買い取るには有り金全部必要だ。
そうこうしているうちに警察がやって来た。
「通報を聞きつけて完璧警察が到着だ。
宝石強盗はどこだ?」
「え゛」
強盗のどや顔ですべてがつながった。
「その袋……お前が宝石強盗なんだな」
警察により、袋を奪われて強盗へと戻される。
「奪われた宝石を取り戻しましたよ。
こんな高価な宝石を奪うなんて許せない奴です」
「本当ですね。それじゃこれで」
強盗は金を取って宝石を回収し、帰っていった。
金を取られて悔しい気持ちよりも
強盗の手口になんだかほれぼれした。
「上手いことやるなぁ。あれなら俺にもできるかも」
すると、警察が電話をかけはじめた。
なにかを手短に伝えた後、すぐに電話を切った。
「どこに連絡していたんです?」
「それは言えない。
私は完璧で最高の警察。
警察組織の秘密は絶対に市民には漏らさない」
「完璧ならなんでさっきの犯人を逃がしたんですか」
「それは言えない。絶対に言えない。
私は完璧で完全な警察だから、秘密を守る義務がある。
教えてしまってはうまくいかないからな」
「は?」
すると、警察は銃をつきつけた。
「ところで、この袋のものを買え。
買わなければ命はないぞ」
「お前も騙されてたんかい!!」
作品名:動くな!これを買え!! 作家名:かなりえずき