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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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ドッキリ vs ドッキリ

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てってれー。

「ドッキリ大成功~~!!」

「……え? いや何が?」

「なにもしてないけど」
「えっ」

プラカードを持ってきて何事かと思った。
大成功も何も、まだ何もされていない。

「きっとお前はこれからドッキリに引っかかるから
 先に宣言しておこうと思ってな」

「それを本人に明かして引っかかるわけないだろ」

「いいや絶対に引っかかる。
 そして、必ず最後に深く絶望するね」

それだけ言って友人は去っていった。
きっとこれからドッキリの準備でもするんだろう。

すると、中学の同級生から電話がかかってきた。

『たっ……大変だ!
 山田が……山田が交通事故で……!』

中学の親友の住所は体が覚えていた。
葬式会場にはいると、全員が涙を流していた。

「このたびは……」


てってれーー。

「「「 ドッキリ大成功~~!! 」」」

参列者全員がプラカードを出した。
その瞬間、腰が抜けてみっともなく倒れてしまった。

「は、はぁ? ドッキリかよ?」

奥から、したり顔の友人がやってきた。

「はははは。びっくりしただろう」

「くそ……もう引っかからないぞ」

あれだけ前置きされて引っかかるなんて。
こんなに早くドッキリ仕掛けられるなんて思わなかった。

「おい、あれなんだ?」
「煙……?」
「火事なんじゃないか?」

参列者は窓から外を見ている。
俺もつられて見てみると、あの方角は――。

「お、俺の家じゃないか!!!」

慌てて飛び出して家にUターン。
家に到着する途中で、はっとしたがもう遅かった。


てってれーー。

「ドッキリ、大成功~~!!」

家までのルートにプラカードを持った人を立たせていた。
途中で「もしかして」と気付いていたのに。

遅れて、友人がドヤ顔で到着。

「またドッキリに引っかかったな」

「うるさいな! 途中で気づいたわ!!」

「でも引っかかった」

「ちくしょーー!」

パニックになると簡単なウソでも信じてしまう。
そこを突かれるなんて、なんだかしゃくだ。

「ところで、今お前の見ている世界は現実じゃない。
 実はこの世界はお前の脳が見ている幻想なんだ。
 本当のお前はベッドの上で人命補助装置につながれて……」

「さすがに引っかかるかぁ!!」

友人の背中から隠しきれていないプラカードも見えていた。
ここまで成功続きだからってなんでも引っかかると思うな。

「もうドッキリには引っかからないからな!」

俺は一切の連絡を絶って、
人の言葉もなにひとつ信用しないようにした。

それからというもの、一度もドッキリには引っかかってない。
ただ、この生活はあまりに窮屈だ。

「いつ来るかもわからないドッキリに
 なんで俺がびくびくしなくちゃならないんだ。
 あいつらは今も自由に生きているというのに」

この不毛なドッキリ合戦に終止符を打たなければ。
そこで俺はドッキリを仕掛けることにした。


ドッキリ作戦中の人がドッキリされた場合、
計画していたドッキリの内容をすべ話さなければならない。


この世界におけるドッキリルール。

きっと今も虎視眈々と作戦をいくつも練っているだろうから、
俺がドッキリをしかけて洗いざらい話してもらおう。

ぷるるる。

『もしもし?』

「もしもし!? 大変だ! お前の家に泥棒が入った!」

『え、ええ!? 泥棒!?
 オートロックで120階建てのマンションなのに!?』

「その油断が命取りなんだよ!
 とにかく早く来い! 警察が今来てる!」

『わかったすぐ行く!』

あっさりドッキリは成功した。
あれだけ騙していた友人でもパニックになると引っかかる。

俺はプラカードを持って友人宅で待っていた。
まもなく息を切らせて友人がやってきた。

「警察は!? 泥棒は!?」

てってれー。

「ドッキリ、大成功~~!!」

友人はきょとんとマヌケ顔をさらした。
その顔を見れただけでもやった価値はある。

「泥棒なんていませ~~ん。
 さんざんドッキリやってくれたからなぁ。
 騙された気分ってどうだ? ん?」

「うぅ……わかったよ、もうだまさない」

「待て待て。それもドッキリって可能性があるからな。
 ドッキリルールをちゃんと守ってもらおうか」

何が真実かわからなくならないためのルール。
ドッキリされた人間は、実行中のドッキリをすべて明かすこと。

「わかった。ドッキリルールだな。
 実は実行中のドッキリが1つだけあるんだ」

「どんなドッキリなんだ? 早く話せよ」



「今までお前にやってきたドッキリ……。
 あれはすべてドッキリなんかじゃないんだ」


てってれー。

俺は深く絶望した。