『doubutu-en」
僕があの動物だった頃は、まだ平和だった日々があった。
だけど、それを思い出すにはあまりにも遠い記憶なので、その時代まで戻ることになった。
僕がなりたいのはねぇ・・・やっぱり今より大きな体で、爪とか強くて、頭デカイ奴。
そうか、それはいい考えだね。でも、僕は逆にスマートなイメージの奴がいいね。
僕の考えもそれと似ているよ。やはり時代の流れを読むとなるべく小さくまとまった方がいいらしいよ。
今、人気の奴は目が大きくてつぶらな瞳が売りなやつらしい。
いつの時代もそういう奴がもっていくのさ。
僕はやっぱりねぇ・・・目がつぶせる奴。喧嘩とか強くて。
そうか、それはまたわかりやすい考えだね。でも、喧嘩上等はちょっとスマートさに欠けるね。
あ、あれは、強い奴の吠える声かなぁ?
違うよ、餌が来たんで喜んでるんだよ。
ここで一番人気はやっぱり、人間だよね。
餌とともにやって来ては、僕らを牛耳っていくのさ。
平和だったあの頃に戻りたいというほどの戦争はないが、日々は戦いである。
ここでは、餌をくれるやつは居ないし、飢え死にできる環境でもない。
それから、いつでも命を狙う変わり者も多く住み、隠れて暮らす奴らも多いそうだから。
作品名:『doubutu-en」 作家名:みゅーずりん仮名