Human Fresh Restaurant
夏川:まあこうなる運命って考えるしかありませんね。気持ち切り替えて新しい就職先見つけて、頑張って行くしかありませんよ。
店員:…その願い、私が叶えてさしあげましょうか?
夏川:え?
店員:ここで働きませんか?夏川さんならきっと良い仕事をしてくださいますよ。
夏川:いいんですか?本当に?ここで働いても?
店員:ええ、すっかり常連さんになっていただきましたし。
夏川:やったぁ!ありがとうございます!頑張りますね!
店員:頑張って下さいね、といってもすることはたった一つですけれど。
夏川:それでも頑張りますよ〜!
店員:期待してますよ。それではこちらにどうぞ。
夏川:はい、わかりました!
夏川:あのー…?
店員:はい?
夏川:ここって…冷蔵庫ですか…?
店員:何故そう思うんですか?
夏川:なんか寒いし…、肉の臭いっぽいのがするので。
店員:まあ似ていますね、正確には肉を調理する場所です。
夏川:精肉場ってことですか?でも血なんて一つもないですよ?
店員:そりゃあ衛生管理はキチンとしないとお客様が大変なことになりますからね。
夏川:そりゃあそうですけど…。
店員:それではここでしばらくお待ち下さい。いろいろと準備したいものがあるので。
夏川:わかりました。(店員がはける)…にしても本当に寒いわ。衛生管理といっても綺麗すぎるし、この寒さは作業がしにくいでしょ。いったい何の肉を扱って…
【後ろから店員が静かに近づいて刃物で夏川を殺すと同時に暗転等のライト変化】
【テレビが真ん中に置いてある】
アナ:〇〇県〇〇市の女性が行方不明になりました。行方不明者は夏川司さん24歳です。夏川さんは人間関係に問題はありませんが、近頃会社をクビになったり先日お伝えした三月さんと同様の行方不明事件(ノイズ音)
店員:いかがでしたか?当店自慢の料理です。何のお肉かわからない…?そうですか、まあ他のお肉と食べ比べて見て下さい。当店は今日お出ししたお肉しかお取り扱いしませんので味は変わりませんよ。あ…、そうそう。お客様の周りで不幸が起こったときは、当店にいらしてください。私達が支えていただきますので。絶望している時に来ていただいた方がこちらとしても嬉しいのでね…。そのためにいろいろ手をつくしていただいているので。いえいえ、特に意味はありませんよ。それではまたお越し下さいませ。ありがとうございました。
〜完〜
作品名:Human Fresh Restaurant 作家名:宇宙風