口 ~生死をかける討論会?~
山崎:皆めんどくさい生き物なんだよ、人間以外の動物でもね。
司会:それでは改めて聞きましょう。生と死、どちらを選びますか?
四人:(顔を見合わせて頷き)生きる!
司会:わかりました、それでは生きるからには二度とこ場に戻ってこないようにしてくださいね。
川島:もちろんだ。
司会:よろしくお願いします。それではリターン!!
【9.その後】
大空:お母さんただいまー!ほらあがってあがって、今日買ったもの並べて見ようよ!えっへへ、今度も遊びに行こうね!
山崎:ごめん、ここんとこ私わからないからお願いしてもいいかな?…ありがと、よろしくねー!よっし、もうちょっとで終わるぞー!
海本:私は事故で手が動かなくなりました、しかし今はこうして私みたいな障害者のための講演をしながらピアノの先生をしています。何故私がこうなったかというと、周りの人に相談したからです。「すべてのことは自分の口から始まる。」これは私の好きな言葉です。人は自分の気持ちや考えを自分の口から言わなければわかりません、だからまず伝えることから始めましょう。
川島:ありがとうございましたー!さてと…、ちょっと妻の様子見に行ってきます。…ええ、妊娠四ヶ月です。そりゃ一度別れたときはどうなるかと思いましたが、また一緒に暮らせて嬉しいですよ。借金ももうちょっとで終わりますし、俺は幸せ者です!
【10.エピローグ】
司会:いかがでしたか?まあ私が一番言いたいことは人間というのは本当にめんどくさい生き物です。自分の言葉で自分の気持ちや考えを言わなきゃわからないのですから。私たちみたいな悪魔的存在なら頭の中なんて見え見えなんですがね。しかし、人は人を支え合う。それは生きていくのにとても大切なことです。相手のことを知らなくても支えられ、また支えているのです。だから人間の皆さん、周りを頼って下さい。貴方方の周りには必ず貴方のことを助けてくれる人がいるはずです。周りを見れば、何かが見えてくるはずです。しかし、人を傷つけたり悲しませるのも人ですからね。そこのところお気をつけください。すべては自分の口から、ですよ。それでは、二度と会うことのないよう願っております。(お辞儀)
―― 完 ――
作品名:口 ~生死をかける討論会?~ 作家名:宇宙風