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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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novelist作家 人気投票しませんか?

INDEX|1ページ/1ページ|

 
新着メッセージがあります。(1)


見慣れない赤文字に驚いてクリックすると、
タイトルで身が締まった。


ノベリスト作家 人気投票のお知らせ



――――――――――――――
かなりえずき様

いつもnovelist.jpをご利用いただきありがとうございます。
このたび、novelist.jpにて人気投票をすることになりました。

対象はnovelist.jpにて投稿している作家様すべてでございます。

お気に入りの作家様に1票を入れることができます。
ふるってご参加ください。

novelist.jp運営
――――――――――――――

もちろん、すぐに自分の作家ランキングを確認した。
今話題の小説家:10位 かなりえずき

1位にはなれていないが、これはチャンスだ。

「投票には今現在活動している作家しかできない。
 だったら、過去の七光りで
 ランキングに居すわる作家を蹴落とすチャンス!」

その日、俺以外の人にも同様のメッセージは
一斉送信されていたようでノベリストは一気に活気づいた。


>作品読みました!最高に楽しかったです!
>ありがとうって言葉が胸に響きました!
>人の温かみを感じる作品でした!

俺はまずコメントを書きまくった。
心からは思ってない安い言葉でも喜ばれれば構うもんか。

大事なのは俺の売名なのだから。

自分の作品を肯定してくれる人には票が集まるはずだ。
すると、だんだん俺にもコメントを残してくる人も増え始めた。

「考えることは同じってわけか……。
 ふふん、だが俺は絶対お前らには投票しないぜ。
 ノベリストNo1の人気作家は俺なんだから!」

コメントを無視すると印象悪くなるので軽く返信。

否定的な投稿やコメントはできるだけ控えて、
さも"心優しくて人が集まる作家"の雰囲気を継続させる。

「完璧だ……! これで間違いない!」




ノベリスト作家 人気投票 中間発表

 ・
 ・
 ・
13位 かなりえずき



「なんでだあああああ!?」

折り返し地点でまさかの13位。
あれだけ頑張って13位って……なぜだ!

俺の努力は効果があったものの、
みんな考えることは同じでコメントでの宣伝が流行した。

みんなが同じことやれば、効果が出ないのは当たり前。

「ちくしょう……マネばかりしやがって。
 こうなったら誰もまねできないことをしなくっちゃ……!」

俺は通帳を手に、業者へ依頼に向かった。
翌日から俺の投稿には見違えるほどの賛美コメントがあふれた。

>21世紀最大の名作!
>家族みんなで読みました!泣いた!
>これを読まないと人生の120%は損すると思います!

「いいねいいね……サクラの効果てきめんじゃないか」

わざわざ金を払って、業者にコメントしてもらうなんて
ノベリストの中でも俺くらいだろう。

肯定コメントが見違えるように増えれば、
"この作家はすごい"という先入観が勝手に出来上がる。

人間なんて大多数に流れる生き物なのだから。

「金はだいぶ宣伝費に使っちゃったが、
 これならきっと人気投票で1位になれるだろう」

業者はほかのSNSにも俺の投稿を拡散している。
金で雇われた人間ほど信頼できるものはない。

ノベリストの小さな囲いで活動するよりもずっと効果的のはずだ。


そして、ついにやって来た人気投票の結果発表。





1位 かなりえずき




「やったぁぁぁぁ!! 1位! 1位だ!!」

しかも投票数は2位を大きく離しての大勝利。
あまりの嬉しさに何度も画面を確認した。

「これからノベリストの王者はこの、かなりえずき様だ!
 わっはっはっは! 頭がたかぁーーい!」

思えば、この時が最高だった。


「うぅ……思いつかない……。
 思いつくけど、思いつかない……」

人気投票1位になってから、スランプに陥った。

これまでのように何も考えずに投稿するわけにいかない。
すでに俺は人気投票1位の作家になってしまっている。
それだけの期待値に見合うようなものを投稿しなければ。

かといって、投稿しないわけにもいかない。

「ああ、こんなことなら1位になんてなるんじゃなかったぁ!!」

思いつくままに書きなぐっていたあの頃にはもう戻れない。



※ ※ ※

ノベリスト運営に雑誌のインタビューが来たのは、
サイトが小説家になろうを超えた人気になった頃だった。

「それでは、取材をさせていただきます」
「よろしくお願いします」

「いまや、飛ぶ鳥を落とす勢いのnovelist.jpですが
 ここまでの人気になったのは何がきっかけですか?」

「そうですね」

運営は少し考えたが、やっぱりそれしかなかった。


「作家の人気投票をやったんですよ。
 なんの宣伝広告費も使わないわりに
 サイトを活性化させる最高の手段です♪」

※ ※ ※



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