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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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明日が来るかはぼくには分からないけれど

今日はある

黒い拳ほどの石は昨日も今日も

同じ場所にある

自らは動けない

だからじっとしていられる

何百年、何万年

動いてはいたのだろうが

誰が気づいてくれたのだろうかと

ぼくは昨日から気づいていたと

言ったところで

何の意味もないかもしれないが

ぼくは想像していた

君は偉大だ

時には武器となり戦国時代には活躍したかもしれない

石器時代には獣の命を奪ったのだろうか

そんなこと少しも自慢せずに

これからも活躍していくのだろう

ぼくは明日が来たら

何をすればよいのだろうかと

学生時代は決められた時間割の勉強

会社では決められた仕事

家庭では規則正しく妻に従い

子供らしく青年らしく大人として

はみ出さず普通に幸せを感じ

家庭が全ての世界より優先して

路傍の石など関心も無かった

はじめて

主体的な明日を迎えてみたくなったから

君という石を手に取ってみた

冷たくて結構重さを感じる

ぼくは死んでしまえば君より軽いだろう

君よりちっぽけなんだなと思う

君よりも重い石になれたらいいと思う


作品名: 作家名:吉葉ひろし