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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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イエローが死んだ日

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「おのれ、シッカーめ!
 こうなったら必殺・ゴゴレンジャーボールを使うぞ!」

「おう!」
「わかったわ!」
「まかせて!」
「カレー食べたい」

ゴゴレンジャーが配置につくと、
レッドがラグビーボール大の爆弾を蹴った。

これを蹴りつなげて怪人に……。

「あっ」

短い断末魔とともにイエローが爆散した。




ちーん。

「イエロー……まさか死んじゃうなんて……」

イエローのお通夜はしめやかに行われた。
ただ、カレーばかり食っていた彼をしのぶというより
流している涙は今後の先行き不安からくるものだった。

「それより、来週からどうするんだよ。
 イエローがいなくなったら必殺のゴゴレンジャーボールは使えない」

「4人で回せば?」

「それじゃ怪人を倒せない」

レッドの問題定期にブルーが顔を青ざめさせた。

「そ、それだけじゃないぞ!
 合体ロボットもイエローが足だったから使えなくなる!」

「それじゃ私たち、次からは必殺技も
 合体ロボットも使わずに戦わなくちゃいけないの……!?」

「そんなの無理よ! 巨大化されたら終わりじゃない!」

これまで幾度と世界の脅威を退けていたゴゴレンジャー。
子供たちの信頼と、大人への安心を守ってきたゴゴレンジャー。

本当のピンチがこんなところで訪れるなんて思いもしなかった。

「私たち、今まで5人ですべて回してきたものね……。
 いまさら4人でなんてできないわよ」

「決めポーズも締まらないし」

「みんな、失ったものをいつまでも引きずってどうなる!
 俺たちは次から4人で戦わなくちゃいけないんだ!
 自分たちの力で倒すしかないんだ!」

「レッド……!」

レッドの熱弁に全員の顔が変わった。

「フッ……熱いな。お前ってやつは。
 でも、その熱さ……嫌いじゃないぜ」

「グリーン……!」

「べ、べつにあんたの言葉にあてられたわけじゃないんだから!
 しょうがなくよ! しょうがなく協力してあげる!」

「エメラルドグリーン!」

「レッドさんの言う通りですぅ。
 私もこれまで以上にがんばって怪人たおしますぅ」

「抹茶ッ!!」

全員の信頼がレッドへと集まる。

「みんな、ありがとう!
 必ず怪人を倒そう! そして世界の平和を俺たちで守ろう!」




次の戦いでレッドは死んだ。



レッドのお通夜はしめやかに行われた。

「巨大化した敵に歯向かうなんて無茶しやがって……」

「これで3人になったわね……。
 もうゴゴレンジャーも終わりよ……」

「博士に頼んで、3人でも怪人を倒せる
 スーパーメカなんて作ってもらったらどうでしょう?」

「そんなの……できるわけないだろ」

3人は長く深いため息をついた。
幸せの40年分くらいが一気に抜けるほどのため息を。

その瞬間、ふすまが開け放たれた。


「ゴゴレンジャー……レッド!!」

「同じく、ゴゴレンジャー……イエロー―!!」

そこにはぴちぴちのタイツを華麗に着こなしている2人が立っていた。

「ゴゴレンジャーのピンチと聞いて」
「助っ人にやってきたぞ!」

「「 これで5人で戦えるぞ! 」」

息ぴったりのふたりの助っ人に、3人は嬉しくなった。

「ああよかった。これなら次から怪人も怖くないわ!」
「必殺技も、巨大ロボットも使えるぞ!」
「早く博士に感謝の連絡をしないと!」

グリーンは博士に連絡を取った。
この助っ人も博士のさしがねに違いなかった。

「博士、僕らのピンチのために
 わざわざ助っ人をスカウトしてくれたんですね!
 おまけにばっちり練習も積んでいますし、即戦力になれます!
 博士、本当にありがとうございます!」


「助っ人? 僕じゃないよ?」

「え? 博士じゃないんですか?」

「だってワシはメカ専門だし」

博士は助っ人なんて送っていなかった。
だったらこの2人はいったいどこから……。


「ああ、さっきおもちゃ会社から連絡があってね。
 ロボットを使って怪人を倒してもらわないと、
 おもちゃが売れないからって助っ人が2人送られてきたよ」