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みゅーずりん仮名
みゅーずりん仮名
novelistID. 53432
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『 もう 一人の私 』

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私と同じ容姿の人物が隣町を歩いていたとの目撃情報を得たのは、数ヶ月前のことでした。その時、私は気にも留めずにそれを聞き流したのですが、その後、知り得た事実は震撼すべきものでした。
もう一人の私が存在し、未来を生きているのです。

タイムマシンに乗って未来に行ってきでもしたかのように、彼女は存在しており、すでに私の将来はその人によって乗っ取られたも同然なのでした。それが解ったからといって、叫ぶ訳にもいかず、その真実を探るために私は立ち上がり、そして倒れたのです。それは、道を外れることは道を作るという訳ではないという事実が私を打ちのめしたからであり、どこへ飛ぼうとも、生きることの意味は一つも無いような気がしたからです。

歩いたはずもない場所で私を目撃したという知り合いの話は、後に事実となり、すると未来の私がそこを歩いていたというあり得ない話が成立してしまうのです。容姿が似た人を作る技術は発達していますが、すべてを笑い飛ばすにはあまりにも不可思議なことが多すぎるので・・・。

「同士を見つけることにしました」

ところがそれは、なかなか難しいことに気付きました。未来を幾つも作っておくことは、幾つもの将来的な可能性を作っておくことだからです。
では、彼女は誰なのでしょうか。彼女が生きた未来を、同じ足跡を辿ることはまるでシナリオ通りのドラマが何度も繰り返されることなのではないか、と私は考えました。同士を探すことにした私は、パラレルワールドの幾つかの一つを生きているに過ぎず、その同士は同じ時代を生きているとも限らない訳なので・・・。

「どうしても、もう一人の私がいると証明したいのです」

しかし、それ以上の難しい証明はあるのでしょうか。私が存在する時、彼女は存在せず、もう一人の私がそこに存在しているとすれば、それは私ではないのです。