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エースを狙え

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    14:00

   オープン戦・初戦


試合開始ギリギリに部屋に戻り俺はすぐにテレビをつけた。
先発はナツさんだ。
ウォーミングアップ程度の挨拶変わりの148キロのストレートで3者凡退で難なく抑えた。

結果は2回無安打無失点。

「…さすが…」

次は童宮さん。
童宮さんも何の怪しげもなく3回、4回を無安打無失点に抑えた。
MAXは153キロだ。

「速球派だったんだ、童宮さんって…」

ナツさんは、コントロール抜群の制球力タイプ。
童宮さんは、速球派の球威タイプか。
それぞれに武器というかスタイルが違う。
多分、1試合で見ると童宮さんの方がエースぽく見えるかもしれないが、シーズン通した成績でみるとナツさんの方が上なんだろう。
そして打順はというと……


<広島サンド>  <札幌シューズ>

1(右)遠藤    1(左)坂月
2(遊)三草    2(中)三島
3(左)鷹城    3(右)戸丸
4(一)左藤    4(遊)数元
5(三)芦屋    5(一)渡部
6(中)脇野    6(二)河野
7(二)垣田    7(捕)崎下
8(捕)紫藤    8(三)川志茂
9(DH)風間    9(DH)幸平
先発:椿     先発:箕輪


こうなっていた。
1から4までは主力打者で、5から8までが二軍の選手達だったが一人だけ、見た事がない選手が混ざっていた。
それは代打の風間だった。

「こんな選手居たっけ?紅白戦出てなかったような気が…」

しかし回が進むにつれ、その代打で出ていた風間の存在感の大きさを知る俺がいた。両者とも9回までに4人投手を使い、9回に最後の抑え投手を入れてきた。札幌の攻撃は太刀さんによってたった6球で締められた。
続いて9回裏最後の広島の攻撃は7,8,9と続く下位打線。
まずは7番の垣田が四球で出塁し、8番の紫藤は凡退、そして9番の代打風間はセンター前にタイムリーヒットを打ち、札幌の抑え投手から1点もぎ取り、広島サンドはサヨナラ勝ちを決めたのだった。
作品名:エースを狙え 作家名:本宮麗果