エースを狙え
●
6畳一間にトイレ付きで畳にコタツがあり、隅っこに2段ベットがあった。ちょっとした台所もある。
コタツの中で寝転がってゲームをしている青年を発見した。
「今日から入る佐熊昇です。よろしくお願いします…」
「おう。俺は椿夏喜・22歳だ。よろしくな?ルーキー君」
「あ、はい…」
「そんなとこ突っ立ってないで中入りな、寒いだろ。荷物はそこら辺に置いといていいから」
「はい…」
俺は荷物を出来るだけ邪魔にならない場所に置くとコタツに入った。
正直かなり寒かったから嬉しかった。
…おーぬっくい…
椿さんは俺にコントローラーを見せて「これ、出来る?」と言った。
「パワプロですか?一応ですけど出来ます…」
「じゃあやろうぜ。一人じゃ退屈でさ…やっぱりこういうのって誰かとやらないと面白くないよな」
「…そうですかね…」
「お、一人いける派?」
「…ま、まぁ…いける派というより気が楽です…愚痴とか聴かなくて済むし…」
「ああ。そういうのは嫌だよな…分かるよ。じゃあやるか」
「はい」
20分後
「…まじか…お前強すぎだろ…!!」
「……すいません…」
「いや、謝らなくていいよ別に。じゃあもう一回!もう一回頼む!!」
「…はい」
この後、10回やって10回とも勝ってしまった。
つい本気を出してしまったがいいのだろうか、先輩相手に…
これで嫌われたりしたらどうしよう…
何か椿さん塞ぎ込んでいるが…
「えっと、あの、椿さん…その…」
「…ナツでいいよ…俺は何て呼べばいい?何かあだ名とかあるか?」
「あだ名ですか…?佐熊か昇のどっちかでしたけど、中学の時はサックって呼ばれてました…」
「サック、か…いいなそれ。じゃ、今からお前の事そう呼ぶから。サックも遠慮なくナツって呼べよ」
「呼び捨てはちょっと流石に…ナツさんじゃ駄目ですか…?」
「それでいいよ」
「…ありがとうございます…」