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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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これが初めての宇宙人交信!

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ひとりの男が大みそかの朝に外に出ると、
ゴミ捨て場のゴミが散乱していた。

「誰だよ散らかしやがって。
 まったく、むかつくなぁ」

街が汚れたことで特に害があるわけではないものの、
潔癖症の彼にとってこういう光景は許せなかった。

でも、それすらも吹っ飛ばす光景が目の前にあった。

「……なんだあのカプセル」

ふと視線を向けた先。
コンクリートの地面に大きなカプセルが突き刺さっていた。


男が見つけたそのカプセルはすぐに国で引き取られた。
なにせ表面の鉱物などを調べれば調べるほど
あきらかに地球外から来たものとわかったからだ。

「カプセルを開けてみよう」

科学者たちはつのる好奇心を抑えきれずに、
カプセルの中を開いてみた。

すると、中には特殊な石板が入っていた。

「これは……宇宙からの手紙かもしれない」

もちろん、宇宙の言葉なので
どこをどう頑張っても読むことはできないが
それでもカプセルといいこの手紙といい
宇宙人は明らかにこの地球に連絡を取ろうとしていることがわかる。

「これは人類初めての宇宙人との交信だ!」

「カプセルがどこから送られて来たか逆算しよう!」

「今度はこっちが返信するんだ!」

世界はあっという間に宇宙人フィーバー。

調べてみるとカプセルは、
地球の隣の星「火星」から送られたものとわかった。

そこで科学者たちはスペースシャトルにメッセージを入れて飛ばした。

『第2エンジン切り離し』
『第3エンジン切り離し』
『第4エンジン切り離し』

シャトルは無事火星に届いた。
地球の誰もが火星からの返事を心待ちにしていた。





「来たぞ! 火星からのカプセルだ!」

カプセルはまた届けられた。

しかも、こちらからのメッセージを読んだのだろう。
前に送られた文章とは違う文字が載せられている。

今度は文学者たちが歓喜した。

「このカプセル交信を繰り返していけば
 我々も宇宙人の言葉を理解できるかもしれない!!」

初見ではちんぷんかんぷんだった宇宙語も、
回数を重ねれば規則性などに気付けるはず。

そうなれば宇宙人との友好関係も夢じゃない。

「どんどんシャトルを打ち上げるんだ!
 宇宙人からの返信をもっと多く持って来い!」

こちらからのメッセージを乗せたシャトルを打ち上げる。



『第2エンジン切り離し』
『第3エンジン切り離し』
『第4エンジン切り離し』


シャトルは無事火星へとたどりついた。
そして、宇宙人からの返信は必ずシャトル到着後に送られた。

「おお、見ろ。文字にゆがみが出始めている!
 宇宙人も嬉しくて心が踊っている証拠だ!」

最初は事務的だった石板の文字も、
何度も返信を続けているうちに味のある文字へとなっている。

きっと、もっとお互いのことを知りたいと思っているに違いない。

「もっともっとシャトルを飛ばせ!
 我々同様、宇宙人たちも交信することを待っている!」

シャトルがまた飛ばされた。


すると、今回の宇宙人からの返信は一味違った。

「これは……あいうえお表?」

カプセルに入っていたのは、
これまでのメッセージタイプのものではなく
地球の言語とそれに該当する宇宙語を参照する表だった。

「宇宙人はこちらよりも早く言語を解読したのか!」

「きっと我々と早く友好的になりたいに違いない!」

さっそく宇宙語の翻訳が急ピッチで進められた。
解読できるようになると、最初の石板がテレビカメラの前に運ばれる。


「それではみなさん。
 宇宙人からの初めての交信をここで生翻訳します」

地球人はみんな歓喜した。
わざわざ連絡を取ってくる友好的な宇宙人が
一番最初にどんなメッセージを送ってくれたのか楽しみだった。

「えーー、ごほん。では、読みます」






『地球のみなさんへ。

 スペースシャトルをアホみたいに打ち上げないでください。
 宇宙にあんたらの出したごみが散らかっています。

 宇宙にゴミを散らかす星はあななたちだけです』