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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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12月25日

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12月25日

体調を崩して、総合病院に行く羽目になった。何しろ半日はかかってしまう。時間待ちの間、本でも読もうと思い、文庫本をかばんに入れた。ところが待合室の椅子がが満席であった。時間的に悪い様であった。8時30分開院なので、私は時間をずらしたつもりで9時30分に受付をした。隣に座っている私くらいの男性に
「何時に来たのですか」
と尋ねると
「7時半くらいかな」
と言った。私は座れなくても仕方ないなと思った。
するとその方は
「ここの外科医は腕がいいんだよ」
と話しかけてきた。
「そうですか」
とあいずちを打つと
「慶應から来たらしい」
確かに腕の良い名医に誰もが診てもらいたい。まして手術は経験豊富な医師がよいが患者から選ぶのは困難だ。
そこで退屈しのぎに、なぜ医師にはランクが無いのかと考えてしまった。大学病院なら教授、準教授とか序列があるから序列が上位の医師は腕もよいのだろうと思う。開業医はそれが無い。噂は時には当てにならないこともある。
自動車の整備士や大工さんや船員さんなどたくさんの職業に階級試験がある。大学から研修期間を過ぎて大手を振って医師で通用する。
でも胃の手術つ30例以上とか100例以上とかでミスがなければ3級とか2級とかできれば、差額は自己負担でも命に掛る病気であれば腕の良い医師の手術を受ける患者さんも多いのではないだろうか。
そう考えながら、待合室をとうる医師の方を見ると、30代から70代の方もいるように感じた。医師に定年の無いことも特権かもしれない。
名を呼ばれたのは2時間後であった。自分では経験からヘルペスではないかと思っていた。ヘルペスが吹き出る前に体の寒気を感じるのだ。それも針で刺されるような寒気である。3度ほど経験していたから
「どうしましたか」
「多分ヘルペスだと思いますが・・」
といった。
「そうかも知れませんが自己判断はいけません」
尋ねられたからの答えなのにとは思ったが、反論は出来なかった。立場が患者は弱者である。
「兆候はそうですが、本当はこれくらいではお薬は出ませんが、年末なのでお出ししてておきます。吹き出たら服用してください」
そのとき、別の内科医であったらどんな診断をしてくれたかと思っていた。
私は薬局で待ちながら、ヘルペスで無かったら正月になってしまうぞ、また体に寒気を感じた。
作品名:12月25日 作家名:吉葉ひろし