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みやこたまち
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鸚鵡(宇祖田都子の話より)

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 窓の外にはピンクがかった紫色の宙が一刷毛、滲んでいました。干してある雑巾に、地の底からの残照がまだらに映えています。私は湯を沸かして、外を眺めながら暖かいコーヒーを飲みました。ピンク色は次第に失われていき、青黒い夜が浸潤していくなか、一瞬、どす黒いような赤色が、視界をチラリと横切りました。私はカップを手にしたまま窓を開けました。暖かい空気の塊が、消し飛んでいきました。水平線が消失した風景の中で、三本の柱は、遠くに屹然とありました。

 ベランダの雑巾をなんとなく手に取って見ると、赤い染みが点々と残っていました。もう一回洗いなおす気分ではありませんでした。階下から人々のざわめきが届き、それが耳に障りました。
 これは、今日という日が最後に残した記念の刻印なのだとということにして、私は窓を閉じました。電気をつけると、半透明の私が青黒い空に浮かんでいるのが見えました。干してある雑巾がひるがえり、半透明の私のあちこちに赤を滴らせているようでした。背後の窓から、ライトアップされた城の一部が映りこんでいました。天守閣の飾りが何だったのかを、マスターに聞き漏らしたことを思い出し、次に行ったったときには絶対に聞いてみようと、思いました。(完)