桃太郎検索したったwwww
僕は鬼ヶ島へ鬼退治をしています」
「そうかぃ、それじゃあ
このきびだんごをもっていきなさい」
「それとこのノートPCを持っていきなさい」
おじいさんに情報化社会への切符を手に入れた桃太郎。
さっそくネットにつないで、最強のお供を探すことに。
『桃太郎 おすすめ お供』
約 83,000 件 (0.32 秒)
「おお、すごい。
こんなに情報があればきっと
鬼に有効な動物が見つけられるに違いない」
けれど、検索結果はどれも同じような内容。
桃太郎と言えば「犬」「サル」「キジ」の3匹とばかりで
もっと鬼に有効な動物を導いてはくれない。
あと、素人の「歌ってみた」動画。
「うーーん、桃太郎って検索するから
きっと引っ張られて求めている結果が出ないのかなぁ」
そこで桃太郎は検索ワードを変更した。
『鬼 退治 有効 動物』
約 148,000 件 (0.34 秒)
「やった! すごいヒット数だ!
さてさて、鬼に有効な動物は……」
しかし、検索結果を見てみても求めている情報はない。
結局はいつもの3匹があげつらわれているだけ。
それと、大量の『歌ってみた』『踊ってみた』動画。
「この動画、邪魔だなぁ。
いちいち出てきやがって」
動画配信サイトの中で
『桃太郎鬼退治するの巻 feat.ボーカロイド』という曲が人気で
それを基にした動画がわんさと出てきてしまうのだ。
「ああ、そうだ。
桃太郎に完全に切り離せば
この動画に邪魔されずに求めていた
最強のお供はどんな動物かわかるはずだ!」
桃太郎は再度キーワードを変更した。
できるだけ鬼や桃太郎とは関係のない形に。
『強い 動物 使役』
約 230,000 件 (0.59 秒)
「よし!! これなら完璧だ!!」
桃太郎は検索結果を見てみると……。
『"強い動物しえき中"歌ってみた』
『"強い動物しえき中"弾いてみた』
『"強い動物しえき中"描いてみた』
『"強い動物しえき中"cover.岬』
『"強い動物しえき中"踊ってみた』
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※ ※ ※
一方、そのころの鬼ヶ島は平和そのものだった。
「桃太郎、来ないっすねぇ」
「いいことじゃないか。
桃太郎がいつまでも来ないから
こっちはこっちでいくらでも準備できたわけだし」
鬼はお供の犬、サル、キジ対策は完璧に済ませていた。
「ところでお前、さっきから何見てるの?」
「動画っすよ。最近、超人気の歌い手がいるんす。
絵とかも上手でファンがものすごい数いるんすよ」
「へぇ」
赤鬼が見ていた動画を覗いてみると、
桃太郎が動画配信をして大人気になっていた。
「あははは、おいおい遊んでやがるぞ桃太郎。
これならいつ来ても余裕で撃退できるな」
すると、鬼ヶ島へ近づいてくる船が見えた。
「来たな、桃太郎。
どんなお供を連れてこようと
余裕ぶっこいていたお前に負けるはずが……はずが」
鬼は戦慄した。
船には桃太郎とそのファン数万人が武装していたから。
作品名:桃太郎検索したったwwww 作家名:かなりえずき